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特集(4)職業は手段、根本は「つないでいく」こと

2013年5月21日

写真:伊礼彼方撮影・岩瀬春美

――内に抱えていた思いを言えたことは、ご自身の殻が破れたようなご経験だったのでしょうか?

 10代後半から現在まで、ちょこちょこ破りながらきています。一番殻が破れたのは3年前ぐらいかな。

――3年前というと。

 自分のルーツを確かめるために、ふるさとのアルゼンチンとチリに行ったときです。それまでは、いろんな記憶がパズルのピースのように頭の中にあったんですけど、それが一つの絵になったような経験でした。

 そこで初めて自分の肩の荷が下りたというか、なにかこう、自分を認められた理由がそこで見つけられたんです。この人たちと血がつながっているんだ、俺はそれを受け継いでいるんだという、人間の自然の営みを実感できたというか。この人たちの間に母親が産まれて、この人たちの間におやじが産まれて、この人たちの間に俺が産まれて、俺との間に誰かが産まれてくる、そしてまたその子と誰かがそのつながりを受け継いでいく…輪廻転生とかね。そういうことを理解していくと、くだらないことで傷ついたり、落ち込んでいたりした自分がばかばかしくなってきました。

――ものの見方が変わったのでしょうか。

 恐怖心がなくなりましたね、生きることへの恐怖心。

――生きること…。

 独立した今、たとえば俺に仕事がなかったら、会社が倒産して飯が食えなくなる。だから必死になって仕事はします。でも、たとえ何かにくじけて、この世界でやっていけなくなったとしても、「生きていく手段」はたくさんある。職業は生きる手段。根本は「つないでいく」ことだから。自分の血を残して、人間関係をつないでいくことが本来人間の持っている第一というか、元々はね。

――その根本に立ち返ったときに、仕事は生きる手段に過ぎないと考えられたのですね。

 世の中にある様々な手段を通して何を伝えたいか。僕は人を楽しませるのが好きです。だから音楽もやったし、しゃべったりもするし、今はお芝居やミュージカルをやっています。でも、もしこれがなくなったとしても、つながっていける手段はたくさんある。お店を開くとかね。大切な人達とつながれる場所があれば究極、形は(手段は)なんでもいいと思う。

 手段という言葉は、否定的な意味合いで使われることもありますが、俺はすごく肯定的に捉えています。むしろ、その方が冷静だと思っています。余裕がないと、仕事を手段とは思えないと思うんですよね。

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