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特集(6)学歴がなくても道はあると示したい

2013年5月21日

写真:伊礼彼方撮影・岩瀬春美

――話を聞きながら、今の伊礼さんはご自身がこれまで得てきたものを、今後は与えようとされているようにも見えます。

 与えるというと、上から目線の感じがするので、その感覚を共感できればいいなと僕は思います。与える…。そうですね…。こういう生き方もありなんだよというのを、自分自身に示したいと思っているし、うん。

――自分自身にですか?

 今はだいぶ変わりましたけど、ここ20年ぐらい、高学歴が当たり前の時代がありました。でも僕は中卒なんですよ。卒業してすぐに働きに出ちゃったんで、勉強をまったくしてきていないんです。でも学歴がなくても、道はあるんだということを、示す。人に示すことによって、過去の自分を受け入れることにもなるんですね。未来へ進むためには、過去の自分を受け入れなければいけない。でもそのためには、未来で何かを得ないと引っ張ってこられないので、同時進行です。

 その作業をずっと自分自身でやってきて、いろんな方々に助けられてきました。もちろんまだまだ援助が必要ですと言いたいぐらいですけど(笑)。でも人にしてもらったことは、自分もしていきたいと思う。それが、俺が生きていく目的ですね。その道に会社を作るという手段が浮かんだというだけの話で。そこに芝居があった。

 もしかして10年後には全然違うことをしているかもしれませんけど、俺自身は何一つ変わりません、ということなんです。そこはぶれない。…。わかんない…。もしかして、もう無理…、うわ〜〜ってなってるかもしれない(笑)。

――独立して約1カ月。インタビュー当日の2013年5月5日、伊礼さんはこう思っていたということで、ちゃんと記録しておきますね。

〈インタビューを終えて〉
 伊礼さんの言葉は心に響く。それはなぜかと考えると、伊礼さんご自身がこれまで苦労をされてきたからではないかと思う。伊礼さんは決して、苦労話として語るわけではないが、会話の行間からそれが感じられた。

 インタビュー中、伊礼さんは「受け入れる」という言葉をよく使われていた。受け入れるには、苦しみと向き合わなければいけないし、実践するのはたやすいことではない。そのプロセスはまた、孤独だっただろうと思う。しかし、その苦しさから逃げずに、立ち向かい、考え抜いてこられた。そうして自ら見出したのが「受け入れる」という境地だったのだろう。そんな実体験から出てくる言葉は、重みが違う。

 伊礼さんの紹介にはよく、「アツい」という形容詞が使われているようだが、私はそうは思わなかった。むしろ、冷静だと思う。それは、人間として生きることの根本をきちんと捉え、現実を見据え、客観的な視点で語れる人だからだ。今、ここ、自分、だけではなく、広い視野で前を向いて生きている伊礼さん。人間的な魅力にあふれる人だ、と今回のインタビューで、改めて確信した。(岩瀬春美)

◆「キフシャム国の冒険」
《東京公演》2013年5月18日(土)〜6月11日(火) 紀伊國屋ホール
《福岡公演》2013年6月15日(土)〜16日(日) キャナルシティ劇場
《大阪公演》2013年6月22日(土)〜23日(日) 森ノ宮ピロティホール
⇒詳しくは、「キフシャム国の冒険」公式サイトへ http://www.thirdstage.com/knet/kifushamu/

◆「ONE−HEART MUSICAL FESTIVAL 2013夏」
《東京公演》2013年7月12日(金)〜18日(木) シアタークリエ
⇒詳しくは、「ONE−HEART MUSICAL FESTIVAL 2013夏」公式サイトへ http://www.tohostage.com/festival/

◆「ジャンヌ ―ノーベル賞作家が暴く“聖女ジャンヌ・ダルク”の真実―」
《東京公演》2013年9月5日(木)〜24日(火) 世田谷パブリックシアター
⇒詳しくは、世田谷パブリックシアター公演情報へ http://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/09/20139.html
《兵庫公演》2013年9月28日(土)〜29日(日) 兵庫芸術文化センター・阪急中ホール
⇒詳しくは、兵庫芸術文化センター公演情報へ http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/top.html

(関連リンク:伊礼彼方オフィシャルウェブサイト) http://www.kanata-ltd.com/

《インタビュアープロフィール》岩瀬春美 福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。シアトルの日本語情報誌インターン、テクニカルライター等を経て、アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当。2012年1月よりフリーランスのライターとして活動。

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