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特集(1)戦いを余儀なくされた2人の皇子

2013年5月23日

写真:「月雲の皇子 ―衣通姫伝説より―」より「月雲の皇子 ―衣通姫伝説より―」より、木梨軽皇子役の珠城りょう(写真左)、穴穂皇子役の鳳月杏(右)=撮影・岸隆子

 物語は、第19代允恭(いんぎょう)天皇の2人の皇子、木梨軽皇子(きなしかるのみこ・珠城りょう)と穴穂皇子(あなほのみこ・鳳月杏)の幼少時代から始まる。

 とても仲の良い兄弟であった2人はある日、親たちには内緒で「土蜘蛛見物」に出かける。ところがそこは人が殺し合う戦場で、化け物かと思った「土蜘蛛」とは、大和朝廷に従属しない人々の通称だった(「古事記」や「日本書紀」にもその名の記述があるらしい)。

 そこで2人は赤ん坊を拾って来る。赤ん坊の母親は戦で殺された土蜘蛛だった。衣通姫(そとおりひめ・咲妃みゆ)と名付けられたこの子は兄弟の妹として育てられ、やがて巫女として三輪山に預けられる。天皇の病気平癒のために呼び戻された衣通姫と9年ぶりに再会した皇子たちはそれぞれ、美しく成長した妹に心惹かれていく。

 仲の良い兄弟であった2人だが、その性格は対照的だった。心優しく争いを好まず、歌を詠むのが好きな兄の木梨に対して、弟の穴穂は武勇に優れ、大和朝廷が強くあるためには戦もやむなしという考えを持っていた。そんな兄弟の心の隙間に、権謀術数渦巻く周囲の思惑が入り込み、やがて2人は対立せざるを得なくなっていく。

 じつは弟の穴穂にも出生の秘密があった。允恭天皇の妃であった母・大中津姫(琴音和葉)と渡来人である身狭村主 青(むさのすぐり あお・夏美よう)との間にできた不義の子だったのだ。本当の父親である青からそのことを告げられ、そそのかされた穴穂は、ついに兄を陥れて自分が皇位を奪う苦渋の決断をする…ここまでが1幕だ。

 雅やかな1幕とはうって変わって、2幕では舞台が朝廷から伊予の国に移り、ダイナミックな戦闘シーンが繰り広げられる。衣通姫との密通の罪を着せられ、伊予に流された木梨は、失意の中で蜘蛛族たちの統領に祭り上げられ、やがて穴穂と戦う意思を固めていく。

 ついに戦場で対峙することになる兄弟。愛する木梨の後を追い、また争いを止めるべく伊予に向かった衣通姫だったが、蜘蛛族の少女パロ(晴音アキ)をかばって敵の手にかかり、命を落としてしまう。木梨もまた穴穂との一騎打ちに挑み、まるで衣通姫の後を追うかのように弟の手に掛かって死んで行く…。

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