マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集【公演評】初演からより深く濃く進化
宝塚星組「ロミオとジュリエット」

2013年6月7日

 宝塚星組公演「ロミオとジュリエット」が、5月31日、宝塚大劇場で初日を迎えました。フランス版ミュージカルとして、2010年に日本初上陸。梅田芸術劇場と博多座で星組が上演し、大好評を博しましたが、今回は3度目の再演で、再び星組の登場です。初代ロミオとジュリエットを演じた柚希礼音さんと夢咲ねねさん、そして星組のメンバーがどんな風に進化し、新しい作品を作り上げるのか、役替わりも含め、みどころいっぱいの舞台となりました。(フリーライター・さかせがわ猫丸)

 2001年にジェラール・プレスギュルヴィック氏が手がけたミュージカル版は、古典ともいえる「ロミオとジュリエット」に現代風アレンジを加えて新しい息吹を吹き込み、世界中で大きな話題を呼びました。日本でも宝塚星組に始まり、雪組、月組と続いて、男女版日本オリジナルの誕生や本場フランス版が上陸するなど、ブームを巻き起こしています。

 星組での初演が行われたのは宝塚大劇場以外の劇場で、かつ選抜メンバーだったこともあり、今回の再演は、大劇場へのいわば満を持しての凱旋公演、期待度の高さも半端ではありません。

 イタリア・ヴェローナで何代にも亘って争い続けるモンタギュー家とキャピュレット家。それぞれの家に生まれたロミオとジュリエットは仮面舞踏会で出会い、運命の恋に燃え上るが、対立しあう両家が2人の恋を許すはずがなかった――。

 柚希さんと夢咲さんは円熟期を迎えたトップコンビと思えない初々しさで、まだ十代のロミオとジュリエットを今回もさわやかに演じきっていました。ワイルドさが魅力の柚希さんが見せる繊細な青年ロミオは、そのギャップもあいまってひときわ愛おしく思えてきます。

 いつキレるともしれない危険な男ティボルトには、紅ゆずるさん。全身赤で包まれたゴージャスなティボルトスタイルがよく似合い、冷酷な雰囲気もたっぷり。歌唱力の向上も著しく、今後は狂気をはらむ演技がどこまで行くのか楽しみです。ロミオの親友マーキューシオには壱城あずささん、ベンヴォーリオに礼真琴さんと、フレッシュな顔ぶれが並び、抜擢にこたえる華やかな活躍は想像以上の驚きでした。前回に引き続き「死」を演じる真風涼帆さんは、表現力がさらに高まり、鶴美舞夕さん演じる「愛」とともに、各場面の空気を動かし、物語を引っ張っていきます。

 そしてひときわ印象的だったのが、ジュリエットの乳母を演じる美城れんさん。イメージぴったりの外見と、若い2人を見守る愛情にあふれた表情、のびやかな歌声が見事で、星組きっての演技派らしく、実力を思い切り発揮しています。また、役替わりがティボルト、ベンヴォーリオ、マーキューシオ、パリス伯爵、死と愛で、それぞれ2パターンあり、違った色が楽しめるのも見逃せません。

 今回の星組は、経験と技術を重ねた柚希さんと夢咲さんが醸し出す揺るぎない安定感を基に、若者たちがのびのびと演じているのが印象的でした。さらに中堅層がレベルアップしていることで、全体がより深く、濃くなり、フィナーレナンバーでは、SHUNさん振り付けの男役によるダイナミックなダンスもあって見ごたえ抜群。初演時も相当感動したのですが、今回はその何倍も胸震わされ、感嘆の連続でした。

 初演から3年を経た価値は必ずある。星組の「ロミオとジュリエット」、確実に「進化」を遂げていました。

【写真】「ロミオとジュリエット」より、ロミオ役の柚希礼音(写真右)と「死」役の真風涼帆(左)=撮影・岸隆子

【フォトギャラリーはこちら】

◆「ロミオとジュリエット」
《宝塚大劇場公演》2013年5月31日(金)〜7月8日(月)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/330/index.shtml
《東京宝塚劇場公演》2013年7月26日(金)〜8月25日(日)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/331/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

バックナンバー

宝塚歌劇一覧へ>> 舞台一般一覧へ>> 動画掲載記事一覧へ>> 過去記事一覧へ>>

過去記事一覧へ>>

ページトップへ戻る

Astandについて個人情報著作権利用規約特定商取引会社案内お問い合わせ