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特集【公演評】日野皓正、ビルボードライブ大阪公演
聴いて、観るジャズを堪能

2013年6月12日
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 ジャズトランペッターの日野皓正による「h factor ―Unity―発売記念ライブ」が6月5日、ビルボードライブ大阪で行われた。今回のライブは、日野自身が立ち上げたレーベル「J LAND」から6月19日に発売されるニューアルバム「Unity」の発売を記念したもの。大阪公演では、発売日に先がけて新譜を披露するとともに、ニューアルバムの販売も行われた。(フリーライター・堀内優美)

 ライブには、HIPHOP界のdj honda、息子の日野JINO賢二、アコーディオニストのcoba、ギタリストの加藤一平、ピアニストの石井彰、ベーシストの須川崇志が参加。アルバム収録にも携わったcobaは今回の大阪公演のみの出演となる。

 オープニングを飾ったのは「Fauna」。「ある時期の動物」との意味を持ち、幻想的で深い森の中にひそむ生き物を連想させながらも、神秘的、心地よさ、緊張感など、聴き手によって様々な想像力を働かせてくれる曲だ。日野のソロではじまりアコーディオン、ベース、ギター、ピアノの音色が次第に集まり、迫力あるサウンドへと導かれていく。

 続いては「Unity」。軽快なリズムの中に個々の音が遊びながら別の方向を向いているように感じさせつつ、最後はぴったりうまく合う。アルバムの音源とは一味も二味も違い、まるで別の曲であるかのような、その場でしか出せない「生もの」の音が繰り広げられていく。ここで日野は西アフリカの太鼓「ジャンベ」をリズミカルに熱演。日野の指にはタコができており、それほどまでに力強くスピーディーに叩き続ける。「unityっていうのは、『get together=連携』という意味なんですよね。みんなで連携してこのギクシャクしたアジアを早く一国になれるようにしたい。でも無理だとおもいますけども。人間っていうのはエゴイズムのかたまりですからね。自分さえよければいいっていうのが人間ですから、それを一緒に『unityで行こうよ』って願いながら、僕たちは演っています」と日野。

 3曲目は「Funakura」。石垣島にある食事や音楽で八重山の文化に触れることのできる「舟蔵の里」をイメージし、沖縄の音階を使い綴られている。海での舟旅を思わせる、ゆったりとしたメロディから始まり、思いがけないリズミカルなセッションが展開されていく。日野いわく「神々が住む場所というインスピレーションから生まれた曲です」

 続いて「Off The Record」。いわゆる「オフレコ=これちょっと内緒にしといてね」との意味を持つという。日野はダンスを踊り、ノリノリのパフォーマンスで熱演。さらにはJINOの歌や、トランペットで挑む各パートとのセッションは軽快で、ステージ上は「楽しくて仕方がない」といったムードに。呼応するかのように、観客のテンションも最高潮になっていく。

 ひと息ついたところで前作アルバム「AFTERSHOCK」から「Inert Motion」。「ナメクジがはっていく動作」を連想させるという曲で、日野はほら貝を吹いたり遊び心でステージを自在に操る。同時に次の展開が予測できないセッションに試行錯誤しながら楽しんでいるのがうかがえた。

 dj hondaによるソロ「DJ’s SOLO」では、日野のトランペットの音源をサンプリングしたものをスピンするhondaに対し、日野がアドリブで自身のトランペットでその音に挑戦し、ユニゾンを展開していく。場内は和やかな笑いが起こるものの、ジャズとDJのコラボといった形で生まれる前衛的ジャズを感じさせてくれる競演は圧巻だ。

 ラストナンバーには、iTunesで配信されたシングル曲「Never Forget 311」。タイトル通り「3月11日を忘れるな」と、被災地の人々への思い、今の時代を生きる日本人としての思いを込め、「Never forget!Never forget 311!」とアーティストたち全員の叫びに余韻を残し、ステージは幕を閉じた。

 予定時間をオーバーしつつ、共演者、観客一人一人と音楽で会話し、全身全霊のパフォーマンスで挑む日野。70歳という年齢を感じさせないパワフルさで、まさに「聴いて、観るジャズ」を堪能できる豪華な1時間30分だった。

【写真】「日野皓正 h factor ―unity―発売記念ライブ」ビルボードライブ大阪公演より=撮影・小林勝彦

【フォトギャラリーはこちら】

【日野皓正インタビュー記事はこちら】

◆今後のライブ日程
日野皓正 h factor―unity―発売記念ライブ
《名古屋公演》2013年6月19日(水) 名古屋ブルーノート(愛知県名古屋市)

日野皓正クインテット
《静岡公演》2013年7月3日(水) Life Time(静岡県静岡市)
《広島公演》2013年7月5日(金) Speak Low(広島県広島市)
《岡山公演》2013年7月6日(土) AVENUE(岡山県倉敷市)

SAPPORO CITY JAZZ EZO GROOVE 2013
《札幌公演》2013年7月12日(金) SAPPORO MUSIC TENT(北海道札幌市)

《鳥取公演》2013年7月14日(日) みね(鳥取県鳥取市)
《京都公演》2013年7月15日(月) 京都 RAG(京都府京都市)
《大阪公演》2013年7月17日(水) ミスターケリーズ(大阪府大阪市)
《愛媛公演》2013年7月19日(金) MONK(愛媛県松山市)
《兵庫公演》2013年7月20日(土) Left Alone(兵庫県芦屋市)
《和歌山公演》2013年7月21日(日) デサフィナード(和歌山県和歌山市)

サマージャズ・スペシャル in リリア(埼玉)
《埼玉公演》2013年7月28日(日) 川口総合文化センター(埼玉県川口市)

⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.terumasahino.com/index2.html

《筆者プロフィール》堀内優美 フリーライター。兵庫県淡路島出身。行政の企画情報課で広報・番組制作に携わった後、フリーアナウンサーに。新聞・雑誌・WEBなどで記事の執筆、コラムの連載をしている。自身の経験を生かした音楽・舞台・映画といったエンタテインメント分野が得意。司会者や民間教育機関の講師としても活動している。

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