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特集【公演評】バウ「フォーエバー・ガーシュイン」
若き主役・芹香斗亜、弾ける存在感

2013年6月17日

 宝塚花組公演のバウ・ミュージカル・ロマンス「フォーエバー・ガーシュイン ―五線譜に描く夢―」が、宝塚バウホールで上演されました。アメリカの人気作曲家ジョージ・ガーシュインが、自らの力でアメリカン・ドリームを実現しながらも、スキャンダルと時代の波に翻弄された半生に、花組の新進スター芹香斗亜さんが、バウ初主演で挑みました。(フリーライター・さかせがわ猫丸)

 ニューヨークが生んだ偉大な作曲家、ジョージ・ガーシュイン。ミュージカル、レビュー、映画、クラシックなどさまざまなジャンルで生み出した曲は500以上にものぼり、没後75年経った今も世界中の人々に愛され続けています。名曲「ラプソディ・イン・ブルー」などは、きっと誰でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 今回の舞台ではそんなガーシュインの、明るく無邪気な18歳から、生涯を終える38歳までを描きます。栄光から挫折へ…ジェットコースターのような半生で、難しい役柄になると予想されましたが、芹香さんは終始強い存在感を保って演じていました。朗らかな若者時代はもちろん、徐々に影が濃くなっていく後半部分も表情豊かに。また実際にピアノを弾くシーンもあり、そちらの腕前もなかなかもので、作品の臨場感を高めています。

 丸顔で愛らしい顔立ちながら、立ち姿が美しく、男役スターとして大きな可能性を秘めると評判の芹香さん。舞台の真ん中でも、それが十分納得できる華やかさをまとっていました。

 念願だったブロードウェイでの成功を果たし、女性とのゴシップも尽きないガーシュインが唯一、心を許した女性ケイ・スウィフトは、仙名彩世さんがつとめます。大人っぽい雰囲気と容姿で、これまでは個性的な役が多かったのですが、今公演では待望のバウホール初ヒロインとなりました。確かな演技力と、レベルの高い歌とダンスはさすがの一言。大人路線の娘役として、これからももっと活躍が観たくなりました。

 ケイの夫で銀行家のジェームズ・ポール・ワーバーグには瀬戸かずやさん。髭の似合うダンディなおじさまで、包容力のある、でも切ない役柄を、地に足をつけて演じています。

 ジョージの親友で、ともにブロードウェイでの成功を夢見るフレッド・アステアには柚香光さん。華やかさをいっぱいにふりまきながら、2幕の始めには華麗なタップを披露しますが、日本を代表するタップダンサー玉野和紀さんの振り付けで、こちらも見ごたえ抜群です。

 柚香さんと同期の水美舞斗さんは、ジョージのゴシップを追うコラムニストの役。ロングコートの着こなしが研5とは思えない落ち着きでびっくり。

 そして今回、特に目を引いたのが、ジョージの兄で作詞家のアイラ・ガーシュインを演じる天真みちるさんです。やさしくて控え目ながら、ジョージを精神的にも仕事面でもサポートする兄を誠実に演じ、演技の幅の広さを見せていました。

 ジョージの音楽を紹介するためのショーシーンがふんだんに登場し、とても勢いのある作品となっています。脚本・演出の野口幸作さんにとっては、これがバウホールデビュー作。最近、若手の演出家がどんどん出始め、生徒だけでなく制作側にも新しい風が吹いてきたことが頼もしいですね。

 将来を嘱望される芹香さんにとって、初の主演はプレッシャーがかかるものだったに違いありません。けれどそんな期待に見事、こたえた舞台だったといえるでしょう。

 まだまだ若く、大人の男役へと成長中ではありますが、未来への可能性はやっぱり光り輝いている。そう確信した公演でもありました。

【写真】「フォーエバー・ガーシュイン ―五線譜に描く夢―」公演より、ジョージ・ガーシュイン役の芹香斗亜=撮影・岸隆子

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◆「フォーエバー・ガーシュイン ―五線譜に描く夢―」
《宝塚バウホール公演》2013年6月7日(金)〜6月17日(月)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/332/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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