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特集(4)恋に関してはウブなトートでした

2013年6月27日

写真:石丸幹二撮影・小林勝彦

――「愛と死の輪舞(ロンド)」はどうでしょうか。

 これは屈折していますからね(笑)。大体、設定が、死神ですから(笑)。

――石丸さんの歌声でこの曲を聴くと、暗黒ではなく、甘美な世界へいざなわれるような感じがしました。

 死神としたことが恥ずかしいことに初恋をしたという。だから、ウブですよね。ウブというか、青い。でもどうしていいのか分からない、戸惑いみたいなものが、彼の口からふつふつとわいて、エリザベートを自分の方に振り向かせるために、追いかける。ある意味、怖い。でもある意味、若い。若者のような発想だと思うんですよ。

――若者ですか。

 若者だと僕は捉えました。恋に関しては若い。だから暴力的に彼女を振り向かせようとしているわけですよね。

――トートはいろんな解釈がありますが、石丸さんの声は、ワイルドというよりは、うっとりするような印象です。

 どちらかというと、そういう風に作ったんです。日本版のトートは、前任の方々がいらっしゃいますので、そのどなたとも違うトートにする必要がありました。その時の演出家には「君は粘着質なトートにしましょう」と言われました。いうなれば、ヘビのように、どこまでもからまっていくようなトート。ある意味、爬虫類的に、低音で作りましょうと言われていたのですが、実際はすごく熱いトートになったんです(笑)。

 でもそこがベースになって「愛と死の輪舞」を歌っていました。ですから、ある意味クールで、そこに自分の中で若さを混ぜて、達観した帝王ではなく、恋に関してはすごく未熟なトートにしました。

――声の年齢も自在ですね。年をとったときの声や、ジキルとハイドの声など。

 確かに声は、役によって全く変わってきますね。とくにミュージカルのキャラクターは、その声だからこそ出てくるリアルがあります。

――その声だからこそ出てくるリアル、ですか。

 ロダン(「カミーユとロダン」)を演じているときは、彼も段々年をとっていきます。年を経たときの声はある意味、感情がダイレクトに行かない声になるわけですよ。声の質としても角がとれたような、もしくは潤いがなくなったような、そんな声を使いながら表現しました。ぱさぱさの声を使うのもそうですね。

――「ジキル&ハイド」では、同じ舞台でもハイドの気持ちになっているときと、ジキルのときと、ぱっぱっと変わっていっていました。

 あれは薬がきかなくなって、両方が出るような状況のシーンでしたね。技術的には難しいところでしたが、気持ちを変えていけば、声が自然に変わっていきました。

――気持ちから入るということは、それだけ追いつめられる状態にもなる。

 そうです。舞台では、自分を役に持っていって歌いますからね。あの表現はきっと、舞台じゃないとできないと思うんですよ。

――憑依しているといいますか、役になっているからできること。

 そうですね。役の心の中にいるからできることですね。ですからアルバムの「再会」を歌うときは、そうはなりません。歌っていて面白いですよ。歌い分けを自然にしてしまう自分がいて。

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