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特集(1)小田島:私が翻訳したいきさつ…

2013年7月11日

写真:「『ジャンヌ』〜ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実〜」制作発表より「『ジャンヌ』〜ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実〜」制作発表より=撮影・岩村美佳

■楫屋一之(世田谷パブリックシアター劇場部長)より挨拶と作品紹介

 「ジャンヌ」は9月に行います私どもの主催公演でございます。今年度行いますラインナップのなかで、一番規模の大きいと言いますか力を入れる作品となっています。今、旅に回っています「オセロ」(公演は7月3日で終了しています)、来年3月に行います野村萬斎芸術監督のドン・キホーテを主体にした「神なき国の騎士」(仮題)、そしてこのバーナード・ショーを原作とした「ジャンヌ」と、こじつけではないんですけれど、ヒーロー、ヒロインが不在のこの今、困窮した世相のなかで新しいヒーロー像、ヒロイン像を劇場として提示しながら混迷するこの世界、日本の現状を少しでも突破出来るといいますか、あるいは明るい見通しを立てられるような作品を皆様にご提供できると思っています。

 さて、このジャンヌ・ダルクですけれども、ご存知のように15世紀の英仏の百年戦争のなかでフランスのオルレアンに実在した少女の話で、最終的には火あぶりにされて処刑されてしまう少女の物語です。原作は1923年に劇作家のバーナード・ショーが「聖女ジョウン」という形で書き下ろしまして舞台にした作品でございます。バーナード・ショーはこの作品によってノーベル文学賞を受賞しております。日本には1926年に築地小劇場で上演されまして、そのあと1963年に劇団雲(69年に再演)でということなのですが、実はそのあと44年ぶりの上演ということで、実に久しぶりの上演ということになります。

 スタッフ、キャスト陣ですが、まず演出には世田谷パブリックシアターで初めての演出登場になります鵜山仁さんにお願いしております。原作を鵜山さんなりに再構成した新しい形の鵜山版の「ジャンヌ」になると思います。タイトルロールのジャンヌを演じますのは、ミュージカル界のプリンセス、超売れっ子の笹本玲奈さんです。非常に膨大なセリフ、スリリングな展開、そして何といいましても豪華なスタッフ、キャスト陣であります。まず9月に世田谷パブリックシアターであけたあと、兵庫、豊橋、札幌での公演で日本全国の皆様にこの作品をお届けします。

■登壇者より挨拶

小田島雄志(翻訳):本当は中川龍一さんが来てくれればいいんだけれど、今日どうしても来られないので、だいぶ前に亡くなってしまったので。正直申しましてこの翻訳は本来は中川さんが翻訳されていて、6場のうち3場まで訳されて病気で倒れられた。あとがいないということで、しょうがなくて僕がやった、代わりに訳したいきさつがあります。「ジャンヌ・ダルク」という題だけれど、「ジャンヌ」というのは中川さんの訳で、「ダルク」というのが僕の訳です(笑)。

 僕はバーナード・ショーに関わったのはこれしかないんだけれども、バーナード・ショーの作品で一番好きです。ジャンヌ・ダルクに対する愛情があるんですよね。この作者が作中人物に愛情を感じさせるものというのは、他には思いつきません。色々考えてみたらジャンヌ・ダルクを最初に英語で書いた男は、もしかしたらシェイクスピアです。シェイクスピアは「ヘンリー六世」、この間も鵜山さんの演出で見せてもらったけれど、あれに出てくるジャンヌ・ダルクというのは悪霊を呼び出す魔女です。ところが、バーナード・ショーは愛を込めた。なぜかというと、バーナード・ショーはアイルランド人ですよね。アイルランド人というのはイングランド人と非常に仲が悪い。イングランドとフランスというのは100年も戦争をした、やっぱり敵同士ですよね。今はEUと言っているけれど。だから、敵の敵は味方なんです。だからアイルランド人というのは、まずフランスに受ける、仲良くなる。これは作家で言えば、バーナード・ショー、ジェームス・ジョイス、サミュエル・ベケット、皆まずパリで受けます。それで、イギリスに入ってくるというか。だからバーナード・ショーもオルレアンの乙女(ジャンヌ・ダルク)に色々と興味を持ったんだろうと思います。

 僕自身、この作品が好きなんだけれども、僕が見たのは50年前ぐらい。このときはロンドンでも大当たりしていたのがジョン・デクスター演出でジョン・プロライト主演の「Saint Joan」だったんですね。これを見たいなと思っていたのが、同じ年に福田恒存さんが訳・演出で岸田今日子さん出演の「ジャンヌ」というのが(劇団雲で)上演されて。僕がそれを見に行ったら、友人でロンドンでジョン・デクスター演出で上演されているのを見て帰ってきた奴が、「雲の舞台みたら、ロンドンのを見なくていいよ」という。なぜかと聞くと、「演出が寸分違わず同じだ」と。褒めたのかけなしたのかわからないけれど。僕は岸田さんのジャンヌしか見ていませんが、今度は笹本さんで見られるというのはこんなに嬉しいことはない。長生きするもんです。

 個人的なことをひとつ言えば、オルレアンという町に僕も行ってきました。「週刊朝日」の仕事で行ったんだけれども、オルレアンという町はどこを向いてもジャンヌ・ダルクの銅像があったりレリーフがあったり、そこらじゅうジャンヌ・ダルクなんです。メゾン・ドゥ・ジャンヌ・ダルクというジャンヌ・ダルクの記念館みたいなものがあるんだけれど、そこも見てきました。一緒に行った「週刊朝日」の記者が町中見渡して「この町は『ジャンヌ・ダラケ』ですな」ってダジャレを(笑)。うまいなと(笑)。

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