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特集【トピックス】44年ぶりの上演「ジャンヌ」制作発表
紅一点の笹本玲奈、ジャンヌ・ダルクに

2013年7月11日

 2013年9月に世田谷パブリックシアターで「『ジャンヌ』〜ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実〜」が上演される(兵庫、豊橋、札幌公演有)。主演はミュージカルで活躍する笹本玲奈。ストレート・プレイで、長年の憧れの役というジャンヌ・ダルクに紅一点で挑戦する。その他のキャストは、今井朋彦、伊礼彼方、大沢健、浅野雅博、馬場徹、中嶋しゅう、村井國夫ら、演出は鵜山仁。先日、世田谷パブリックシアターの稽古場にて行われた、制作発表の模様をお届けする。(フリーライター・岩村美佳)

 原作は劇作家バーナード・ショーの「聖女ジョウン」。バーナード・ショーはこの作品をはじめとする作家活動によってノーベル文学賞を受賞している。翻訳は前半を中川龍一が、後半を小田島雄志が行った。小田島はバーナード・ショーの作品の中でこの作品が一番好きだという。「ジャンヌ・ダルクに対する愛情があるんですよね。なぜかというと、バーナード・ショーはアイルランド人。アイルランド人というのはイングランド人と非常に仲が悪い。イングランドとフランスというのは100年も戦争をした、やっぱり敵同士ですよね。敵の敵は味方なんです。だからアイルランドの作家は皆まずパリで受けます。それで、イギリスに入ってくるというか。だからバーナード・ショーもオルレアンの乙女(ジャンヌ・ダルク)に色々と興味を持ったんだろうと思います」と解説する。

 日本では1926年に築地小劇場で初演され、そのあと1963年と1969年に劇団雲で上演されて以来、44年ぶりの上演になる。長く上演されなかった理由について鵜山は、「やはり社会的というか、政治的な、問題劇的なメッセージが強いと思われた節がある、これは流行り廃りがあるんじゃないか」という。そして「『何のためにどこに向かって生きているんだ』ということのために、ガイドになる作品を伝えていく。そのために、そういうエネルギーをライブで舞台の上で表現することが、必要とされている時代なんじゃないか」と、今の思いを伝えた。

 ミュージカルを主な仕事場とする笹本が、ストレート・プレイに出演するのは2作目。鵜山と台本の読み合わせをするなかで、ストレート・プレイは全ての基本なんだと気づいたそうだ。「相手を呼びかけるセリフひとつで自分がその人の存在を示してあげなければいけないし、その人がジャンヌという役を示してあげなければいけない。本当に相手とのキャッチボールで全て成立する」と、デビューから15年たった今、再発見したという。また、ジャンヌ役については「その当時ひとりの少女がひとつの信念をもって、貫き通すために進んでいくその姿に、私はすごく憧れます。私自身も全然彼女とは違いますけれども、ミュージカルがやりたいと思ってその夢を叶えるために突き進んできた自分の姿とその彼女の姿を照らし合わせたときに、すごく共感するものもあります」と話した。また、ジャンヌが生まれたオルレアンに行って肌で感じてきたいと意気込んだ。

 ジャンヌを囲む役を演じるのは実力派の個性豊かな俳優たち。鵜山作品の常連も顔を揃える。イギリスの伯爵ウォリック役を演じる今井は「敵対するイギリスの伯爵という立場からなぜジャンヌを火刑台に送らなければいけなかったのかというところを、きちんと演じられたらいいなと思っています」、オルレアンの私生児デュノア役を演じる伊礼は「『美青年』とか『着飾っている』とかそういう装飾品みたいなト書きが書かれていまして、真面目にやらないといけないなと。デュノアは一番ジャンヌに近しい存在で、そして一番フラットでいられるシーン、存在なのではないかなと思っています」、フランス王太子シャルル役を演じる浅野は「歴史的にもジャンヌの愛に満ちた神々しい行動に、一番恩恵を受けたのはこのシャルルだと思うんです。ジャンヌがどんなふうに魅力的でどんなところに惹かれたのか、これから作って行きたいと思います」、領主・将軍のロベール役と査問官ジョン・ルメートル役の2役を演じる中嶋は「大好きな鵜山仁という演出家と大好きな俳優たちと日々楽しく過ごせたらいいなと思っています。いい作品は楽しい稽古場からしか生まれないと僕は信じています」、フランスの司教コーション役を演じる村井は「ジャンヌの一番最後のセリフのなかで『神はこの美しき地球をおつくりになった。けれどもどれほどの犠牲を払えば良き人が生まれてくるのか。いつになったら、いつになったら』というセリフがあるんですけれども、これが非常に私の心を打ったというか…。これはやはりバーナード・ショーの作品だなと思うんですけれども、そういう意味では心してかからなければと思っています」とそれぞれに話した。記者との質疑応答が終わりかけたとき、伊礼が「はい」と手を挙げた。まさかの出演者からの質問だ。(この詳細は有料ページに掲載しています)

 「今の僕にとって一番のポイントは死んだ後のことを考えて生きる生き方、自分が死んだ後も死んでいないような世界の在り方というか、そんな風なものを表現するということで、多少表現というのが世の中の役に立つんじゃないかなと思っているところがあります」という鵜山。バーナード・ショーのジャンヌ・ダルクの最終場面には、死んだあとのジャンヌ・ダルクが登場する。まさしく「死んでからの生き方」というのが描かれているという。果たして観客はそこに何を感じるのだろうか。豪華キャストとスタッフで、新しいヒロイン像を作り上げる「ジャンヌ」に期待が高まる。

【写真】「『ジャンヌ』 〜ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実〜」制作発表より=撮影・岩村美佳

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◆「『ジャンヌ』 〜ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実〜」
《東京公演》2013年9月5日(木)〜9月24日(火) 世田谷パブリックシアター
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/09/20139.html

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーフォトグラファー、フリーライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。

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