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特集【公演評】玉三郎と鼓童、愛音羽麗「アマテラス」
日本の神話の世界を音楽と舞踊で描く

2013年7月17日
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 坂東玉三郎、太鼓芸能集団・鼓童、元宝塚歌劇団男役スター・愛音羽麗(特別出演)による「アマテラス」が赤坂ACTシアターで上演中だ。五感を刺激する舞台によって感覚を研ぎ澄まし、自由に感じることが出来る。(フリーライター・岩村美佳)

 「アマテラス」は、鼓童の芸術監督を努める玉三郎と鼓童が、2006年に初共演した作品で、日本の神話世界を描いた音楽と舞踊の作品だ。今回は新しく愛音が加わった。さらに愛音が踊る部分の振付は、宝塚などの振付で活躍しているKAZUMI−BOYが担当している。

 神々の住む高天の原を治めるアマテラス(玉三郎)は、弟のスサノオ(鼓童・小田洋介)の乱暴に心を痛めて天の岩屋戸に姿を隠し、世界は闇に包まれる。困り果てた八百万の神々は岩屋戸の前で宴会を行う。アメノウズメ(愛音)の踊りの見事さに神々は大喜びし、その騒ぎを岩屋戸の中で耳にしたアマテラスは、つい外を覗く。すかさず神々は岩屋戸を引き開け、アマテラスは姿を現し、世界は再び光に満たされる…というストーリーを描いている。

 暗闇に赤くライトアップされた1台の平胴太鼓を打ち鳴らす音から全てが始まる。いにしえの世界へといざなうプロローグは、観客を一気にアマテラスの世界へと引き込んだ。アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三神誕生の場面では、笛、箏(こと)、銅鑼(どら)などが加わって、音が重なり膨らんでいく。玉三郎の優雅でたおやかな佇まいには圧倒される。アマテラスの笛と箏の優しい音楽にのせて踊る天井の舞は、艶やかで雅び。対するスサノオは、様々な太鼓の音が力強く激しい。アマテラスとスサノオの対照的な見せ方が見事だ。

 舞台を這うような長く大きな美しい布の動きが美しい。ときに大きなうねりとなって空間を動かす。アマテラスは黄色とオレンジがミックスした色合いが神々しく、「光」を思わせる暖かな空間だ。スサノオは青の濃淡が雄大な「海」を思わせる。スサノオが荒れていく様は、嵐の海のようだ。岩屋戸が閉じていく様を、舞台全体の黒幕の動きで見せているのだが、ダイナミックで見応えがある。

 2幕は木魚、団扇太鼓、仏鉦という3種の仏具を用いた3人のアンサンブルから始まる。3人のコミカルな間合いがなんともおかしく、1幕の神秘な世界を堪能した緊張感が一気にほどけた。次の、八百万の神々が集まって宴会を行う場面は、鼓童ならではの見せ場だ。様々な太鼓を打ち鳴らす。その太鼓の音が体のなかに響いて、音楽を全身で体感することが出来る。

 そこへ踊りの名手であるアメノウズメが登場する。愛音が現れると、舞台が一気に華やいだ。気高く、強く、美しい花が咲くように、鮮やかに舞い、インド舞踊で使うような足に付ける鈴を踏み鳴らす。その音が、太鼓、笛、ボナン(インドネシアの民族楽器)などの音と重なって、華やかで甘美な音になっていく。そして、その様子が気になったアマテラスが岩屋戸から出ることにより、世界は再び光に包まれた。アマテラスとアメノウズメがともに踊る姿は荘厳で愛に満ちていて、いっそう華やかだ。

 私たちが実際に覗き見ることが出来ない神々の世界。舞踊や音楽という抽象的な表現を、想像力を膨らませて見ることで、思い描くことが出来る。他のどの舞台とも違う唯一の世界に、ひととき酔いしれた。

【写真】「アマテラス」公演より=撮影:岡本隆史(Okamoto Takasi)

【フォトギャラリーはこちら】

【「愛音羽麗」インタビュー記事はこちら】

【「アマテラス」制作発表の記事はこちら】

◆日本ロレックス presents「アマテラス」
《東京公演》2013年7月4日(木)〜28日(日) 赤坂ACTシアター
《福岡公演》2013年9月5日(木)〜29日(日) 博多座
《京都公演》2013年10月5日(土)〜27日(日) 南座
⇒詳しくは、赤坂ACTシアターホームページへ http://www.tbs.co.jp/act/event/amaterasu/

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーフォトグラファー、フリーライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。

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