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特集おお宝塚(3)「涙と汗と同期の絆」

2013年7月17日

写真:初舞台のラインダンス稽古時の記念写真から。中央が内田もも香さん初舞台のラインダンス稽古時の記念写真から。中央が内田もも香さん=本人提供

 夢に見た初舞台。それは、恒例のラインダンス。ステージいっぱいに並び、頭より高く足を上げて踊る。元気に「ヤッ」と声かけて。

 2年間の宝塚音楽学校を卒業した同期みんな一緒に踊る最初で最後の舞台だ。

 「この時初めて“指導”のありがたさを痛感しました」

 2003年に愛紗(あいさ)ももの芸名で初舞台をふんだ女優の内田もも香(28)は話す。89期生49人のひとりだ。

 「指導」とは音楽学校2年目の本科生が1年目の予科生におこなう。時代につれ中身は変わったが、内田が予科の頃、こんなものがあった。

 阪急電車にお辞儀。上級生が乗っているかもしれないから、通り過ぎる全車両にぺこぺこ。「まるでエサをつつくハト。実際は乗っているかどうかなんて見る間もない」

 本科生に呼ばれたら、すぐ行くこと。例えば「1分後に日舞教(日本舞踊の教室)」と突然、呼び出しがかかる。駆けつけ、本科生の前にずらり正座する。

 「間隔が汚い!」

 「すみません」

 「頭(ず)が高い!」

 「すみません」

 指導は理屈じゃない。

 おかげで意識しなくてもそろうようになった。等間隔にぴたり並んで踊るラインダンス。これが生きた。

 内田は月組トップスターだった真琴つばさに憧れ、音楽学校を受けた。入学後、中退した高校や地元のバレエ教室を訪ねる時は、音楽学校のグレーの制服を着ていった。

 自慢の制服。なにより予科時代の「汚れた制服」が誇りだった。「涙と汗でどろどろなのに、忙しくて洗う暇もない。がんばった証しでした」

 初舞台から3年目、娘役だった内田は同期で最も早く退団した。テレビに出たい。思いが募った。ドラマデビューは「水戸黄門」の町娘役。

 宝塚で日本舞踊を学んだから、和服の着こなしはお手の物。里見浩太朗に「宝塚出身だと安心だ。若いのに落ち着きがある」と感心された。

 いま、同期とは無料通話アプリ「ライン」でやりとりする。出演ドラマの放送中は「いま出てるね」。みんなの誕生日には「おめでとう」の嵐。たいてい花組男役の望海風斗(のぞみふうと)が口火を切る。「同期愛の強い子なんです」

 同期には何でも話せる。顔を見た途端泣き出して悩みを打ち明けることもある。厳しい音楽学校時代をともに乗り切ったから――。「親友であり、『信友』なんです」=敬称略(生活文化部・成川彩)

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