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特集おお宝塚(4)「磨きに磨いてジェンヌ」

2013年7月17日

 青空がまぶしく広がる5月の終わり。宝塚大劇場前に緑の袴(はかま)姿の100期生(本科生)40人が颯爽(さっそう)と現れた。

 「おおっ」。待ち受けたファンがどよめく。宝塚音楽学校恒例の「すみれ募金」だ。

 「子どもたちのための募金にご協力下さい」。声高らかにユニセフへの募金を呼びかけるタカラジェンヌの卵たち。ファンが囲み、名前を聞いたり写真を撮ったり。

 「いい方がいないか、発掘にきました。初々しい生徒さんにこんな間近で会えてドキドキ」。名古屋からきた女性(74)は声を弾ませた。

 ファンがときめく袴姿の彼女たちこそ、未来の歌劇を背負うスターの「原石」。その原石を見いだすため、音楽学校は2009年、大胆な受験改革に踏み切った。

 1次試験の実技をなくして面接だけにした。2次の実技内容も簡単にして「狭き門」の門戸を開いた。楽譜が読めなくても、トーシューズを履いたことがなくても大丈夫、というわけだ。

 背景には、減り続ける受験者数への危機感がある。近年では04年の1066人をピークに、08年には854人まで落ち込んだ。

 だが、宝塚ファンの親を巻き込んだ受験競争は依然として厳しい。宝塚を目指す人向けに、元タカラジェンヌの開く「受験スクール」が各地に出現。わが子をタカラジェンヌに! 夢をふくらませ、「妊娠中から申し込む母親もいる」と関西のスクール主宰者は打ち明ける。

 学校側は、こんな風潮に不快感を示す。「スクールではなく、うちが原石を磨くんです」ときっぱり。

 授業内容を見直し、茶道、英語、狂言の授業を廃止。その時間をすべてピアノに充てた。ピラティスやボイストレーニングも新たに導入し、原石の受け入れ態勢を整えた。

 「バレエはほぼ初心者だったのに合格。トップにのぼりつめた彼女は磨かれざる原石だったのでしょう」。富山市の田中秀子バレエ研究所の代表、利田(りた)みさきがいうのは地元出身の元月組トップスター剣幸(つるぎみゆき)のこと。利田は剣と半年一緒にバレエを学んだ。

 粗削りでも光る原石――。

 同市内で春からバレエを始めたばかりの高校2年生、末吉かな子(16)はファン歴3年。地元の誇る大先輩、剣のあとに続きたいと挑戦を決めた。入試改革が背中を押してくれた。「やれるだけやってみようって。ダメでも人間として成長できる気がする」

 きたれ、未来のスターたち。=敬称略(生活文化部・谷辺晃子、成川彩)

写真:すみれ募金を呼びかける100期生。「写真を撮らせて」とファンがつめかけたすみれ募金を呼びかける100期生。「写真を撮らせて」とファンがつめかけた=兵庫県宝塚市、滝沢美穂子撮影

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