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特集【公演評】吉田兄弟、新歌舞伎座で和の祭典
「今に生きる伝統、伝えたい」

2013年8月6日
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 津軽三味線の兄弟ユニット・吉田兄弟が7月27日〜28日、大阪の新歌舞伎座で「吉田兄弟 和の祭典」を行った。この祭典では、兄・吉田良一郎が手がける新・純邦楽ユニット「WASABI」、弟・吉田健一がプロデュースする津軽三味線集団「疾風(はやて)」が共演し、新歌舞伎座では昨年に引き続き、2度めの公演だ。開演前から幅広い年齢層のファンが詰めかけ、盛大な祭典が行われた。(フリーライター・堀内優美)

 第一部の幕開けは、吉田兄弟、WASABI、疾風が勢ぞろいし、この日のために健一が作曲した勇壮で迫力ある新曲でオープニングを飾った。

 続いて、疾風によるステージ。出演者は愛知県出身の山口晃司、大分県出身の匹田大智、石川県出身の永村幸治、宮城県出身の柴田愛の4人。ニューアルバム「パズル」に収録されている「疾走」「雪月花」「烈火」を、威勢のいい掛け声と激しいバチさばきで競演を繰り広げた。また、昨年まで担当していたラジオ番組「疾風のシャミこれ!?」のコーナーから、リスナーおなじみの曲を津軽三味線でカバーする「カバコレ」に挑戦。坂本九の「上を向いて歩こう」を奏でると、客席からは手拍子と合唱がはじまり、会場は一体化していった。

 WASABIのステージでは、尺八の元永拓、太鼓・鳴り物の美鵬直三朗、筝(こと)・十七絃の市川慎、津軽三味線の良一郎の4人が登場。まずは、童謡「この道」を演奏。アレンジを施し、ひと味もふた味も違った曲に変身していた。元永は「和楽器の優しい音色に、ピリリとスパイスを効かせたのがWASABI」と紹介。オリジナル曲「イレブン」、新曲「イエロージーナ」では、テンポよくそれぞれの和楽器が個性ある音色を醸し出し、客席から自然と手拍子が重ねられていく。「みなさんの声も聴かせてくださ〜い!」という美鵬のかけ声に合わせ観客も合唱、和やかな盛り上がりを見せた。

 そして、WASABIの代表曲「烈光」。和楽器のサウンドに様々なジャンルのリズムをミックスさせ、客席から「カッコいい!」と自然に声がもれるほど。美鵬は「日本を代表する楽器を、日本のみならず世界に発信していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」と呼びかけ、第一部の幕が閉じられた。

 第二部のオープニングは吉田兄弟と疾風による6人の津軽三味線で「鼓動」。力強さと繊細さがぶつかり合い、それぞれの音に挑んでいく。2曲目は吉田兄弟二人による「風神」。兄弟ならではの息の合ったバチさばきは圧巻で、迫力と美しさをあわせ持つ演奏だ。

 兄弟それぞれの演奏も見逃せない。まずは健一が作曲した「月光」を、健一の三味線と市川の箏で演奏。優しく静かに語りかけてくれるような音色は心地よく、しばしの安堵をもたらしてくれた。そして、良一郎が作曲した「しぐれ」を、良一郎の三味線と元永の尺八で演奏。和楽器ならではの味を取り入れた音色は迫力で、日本の音楽らしさをたっぷり聴かせてくれた。対照的な「静と動」を感じさせるそれぞれの演奏に、良一郎は、「5歳から三味線をはじめ、ほぼ同じタイミングではじめているんですが、お互いが作る曲のカラーは違うな、としみじみ感じますね」と語った。

 オリジナル曲「Panorama」は、吉田兄弟にWASABIが加わり、筝、尺八、和太鼓に二人の津軽三味線のスタイルで彩られてゆく。客席からの手拍子に合わせ、5人は終始、楽しそうに演奏していた。

 ラストナンバーの吉田兄弟二人による民謡「津軽じょんがら節」は、15分間の長い曲ということもあり、演奏開始までの数秒間、兄弟2人はゆっくり姿勢を整え深呼吸、会場内はしんと静まり、緊張感が走った。激しく細やかな指使いは見事で、「ここぞ」と思う箇所での拍手がたびたび起こった。この曲について健一は「津軽三味線といえばこの曲だと思いますし、僕たちの永遠のテーマだと思っています」。

 アンコールは「グラスランド〜虚像の翼」、デビューアルバムの収録曲「いぶき」を出演者全員で演奏。和楽器の魅力を贅沢に堪能できる110分のステージに、拍手喝采は鳴り止まなかった。

 来年7月にも、新歌舞伎座で公演が予定されている。来年は、吉田兄弟にとってデビュー15周年を迎える年であり、健一は「いままでも様々なことにチャレンジしてきたけれど、そのチャレンジはこれからも続け、今に生きる伝統をいろんな形でみなさんにお伝えしていきたいと思っています」と語った。

【写真】「吉田兄弟 和の祭典」公演より=写真提供:新歌舞伎座

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(関連リンク:吉田兄弟オフィシャルサイト)
http://yoshida-brothers.jp

◆「吉田兄弟 和の祭典」
《大阪公演》2013年7月27日(土)〜28日(日) 新歌舞伎座
※公演は終了しています

《筆者プロフィール》堀内優美 フリーライター。兵庫県淡路島出身。行政の企画情報課で広報・番組制作に携わった後、フリーアナウンサーに。新聞・雑誌・WEBなどで記事の執筆、コラムの連載をしている。自身の経験を生かした音楽・舞台・映画といったエンタテインメント分野が得意。司会者や民間教育機関の講師としても活動している。

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