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特集(1)際立つキャラクターの魅力

2013年8月21日

 初演と比べるといっても6年も前のことで記憶もあいまいだし、安易に「バージョンアップした」と断言するのは失礼なことかもしれない。だが、今回観劇してひとつ強く感じたのは、登場人物一人ひとりに、「この人はこういうキャラです」と思わず説明したくなってしまうような際立った魅力があるということ。そして、劇中の役割も明確だということだ。

 たとえば、7人の取りまとめ役を仰せつかる上原金蔵(吉沢悠)は、とにかく「気ぃ使い」である。少年時代から大のタカラヅカファンで、宝塚歌劇団創始者の小林一三に男子部を創設して欲しいと手紙を出した張本人でもあるのだが、皆が事件を起こすたびに「自分はまとめ役には相応しくないのでは?」とアタフタしている。この、人の良い感じと内面の芯の強さをどう見せるかが役者としての演じどころだ。

 チームの中で、そんな「大将」を支えるポジションにあるのが竹内重雄(良知真次)だ。電気屋の息子ながら歌をこよなく愛する彼は、終戦間際に上官に「戦争は嫌いです」と正直に言って営倉にぶち込まれた過去を持つ。信念の男だ。この竹内と上原のコンビネーションも見どころのひとつだろう。

 そして7人の中のスターは何といっても星野丈治(中河内雅貴)。プロのダンサーで、乞われて男子部にやってきて華麗な踊りを見せびらかすというこの役は、初代は吉野圭吾、次に東山義久と、歴代ミュージカル界で活躍するダンサーが演じて来た。プライドが高く鼻持ちならない彼が少しずつ心を開いていく過程もこの役の見どころだが、今回は中河内の持ち味のせいか、より人懐っこく寂しがり屋な面が垣間見えた。

 この他、旅回り劇団出身でムードメーカーの長谷川(入野自由)、ヤミ屋のボスと経歴詐称(?)して粋がっている山田(小林)、劇団オーケストラにいて実は繊細で病弱な太田川(板倉チヒロ)と、それぞれ個性的だ。遅れて入団する竹田(上山竜司)は、劇団生徒と付き合うようになってしまうという重要な役割を担うから、やっぱりイケメン弟キャラであって欲しいところだ。

 こうしてみると、それぞれの役がすでに「○○さんに適役じゃないか」「××さんならどう演じるだろう」とあれこれ想像を膨らませるのに充分なほどに独り立ちしている。だから「再演」に相応しいのだ。私もまた今度再演されたら観てみたいなあと思ってしまった。

 そして、そんな中で初演から変わらぬ味を見せるのが、寮でまかないの世話を焼くおばちゃんである君原佳枝(初風諄)と、阪急側の担当社員である池田和也(山路和弘)だ。

 かつて「ベルサイユのばら」で初代マリー・アントワネットをつとめた初風さんが、舞台への夢破れたおばちゃんを演っている。だが、いくらモップ片手の割烹着姿でも気品溢れるアントワネット役者の片鱗は隠せない…これはもう、タカラヅカファンとしては最高のツボである。山路さんはこれまで会社員として働いたことなどないはずなのに何故、宮仕えサラリーマンの悲哀をあれほど醸し出せるのか? 男性の観客が一番共感できるのは、案外池田なのかもしれない。この2人の存在も、もはやこの作品には「必須」だろう。

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