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特集(2)男子部の戦いを敬意を持って描きたい

2013年8月21日

 そして見逃してはならない、この作品の裏テーマは「戦争の傷跡」だ。7人の若者はそれぞれに、壮絶な戦争体験を引きずっている。

 「大将」の上原は人間魚雷「回天」基地で通信兵だった。満州から命からがら帰国した者、激戦地ミンダナオ島から帰還した者。一見戦争には縁のなさそうな星野にも、長崎で「きのこ雲」を目にしたという体験がある。7人の中では若い竹田は、36歳にして出征したまま生死もわからない父親の帰りを今も待っている。

 「特攻隊の生き残り」という山田の過去も詐称なのだが、じつはそれは兄の話で、今は家で廃人のようになって過ごしているとわかる。身体検査に引っかかって戦争に行けなかった太田川は、「お国のために役に立てなかった」自分をずっと恥じている。

 当時の10代〜20代の若者は、こんな風だったのかと思うといたたまれなくなった。直前に戦争があったわけだから、当たり前といえば当たり前なのだが、平和ボケしている今の時代からは想像がつかない若者像だ。そんな彼らが夢を売る舞台に向き合うときには、ただの「憧れ」に留まらない複雑な思いが絡み合っていたことだろう。

 演出を手がけた鈴木裕美氏は、初演からずっと大切にしてきたこととして、「『二度目の終戦記念日だ』という台詞に代表される、宝塚男子部が必死に戦い破れていく『戦いの記録』を、後輩の演劇人として敬意を持って描きたいということ」を挙げている。そして実際その思いはストレートに伝わって来た。この「わかりやすさ」が、鈴木演出の魅力のひとつである。

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