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特集(1)蘭寿、さすがの男役経験値

2013年8月27日

写真:「愛と革命の詩(うた) ―アンドレア・シェニエ―」より「愛と革命の詩(うた) ―アンドレア・シェニエ―」より、アンドレア・シェニエ役の蘭寿とむ=撮影・岸隆子

 開演前に見られる黒と白に分かれたゴシック調の幕や、斬新なセットなどの洒落た演出にまず目が留まります。特筆すべきは、舞台上で常に存在する巨大な翼。中央に小さな階段を配し、左右に広げた羽根は天使のイメージなのでしょうか。真っ白な表面は華やかなシーンや幻想的なシーンを彩り、場面転換で舞台上の盆がまわると、支える柱などがむき出しの裏面が表れ、民衆の生活をはじめとした暗く現実的なシーンに役立てる。1つのセットが場面によって表情を変え、趣向を凝らしているのも今公演の大きな特色となっていました。

 手がけたのは舞台芸術家の松井るみさん。今年3月に行われたドラマシティ公演「南太平洋」でも、シンプルながら印象的な舞台装置が話題を呼んでいました。

 物語は、望海風斗さん演じるフランソワ・ド・パンジュ侯爵の回想で始まります。25年前、共に生きた同志アンドレア・シェニエの作品と、その波瀾に満ちた人生を後世に残すため、彼は静かに語りだしました。近頃、骨太な役が多かった望海さんにとって、落ち着いたブロンドのフランス貴族は新鮮な役どころ。物語の最後に歌う銀橋ソロは、心に深く染み渡ります。

 ――1789年7月14日、革命前夜のフランス。コワニー伯爵邸では今日も華やかな夜会が開かれていた。下僕のジェラール(明日海)は、民衆の不満など見向きもしない貴族たちに憤りながらも、伯爵令嬢マッダレーナ(蘭乃)への想いを密かに募らせている。一方、マッダレーナはそんな想いに気づくこともなく、着せ替え人形のような毎日に虚しさを覚えていた。夜会客の中には詩人のアンドレア(蘭寿)がいた。貴族社会を批判しながら、貴族と付き合わざるを得ない彼もまた、魂の赴くままに生きたいと葛藤しているのだった。

 豊かなウェーブのロングヘアに貴公子スタイルの蘭寿さんは、まさに王子様。自らの信念を決して曲げない高潔な魂を持った詩人を、安定感のある演技で包容力たっぷりに演じています。一見、持ち味とは違う役柄と思わせつつ、優雅な世界もピタリとはまるのはさすが。男役経験値の高さはどんな役でも最高のパフォーマンスを見せてくれます。

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