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特集【公演評】宝塚花組「愛と革命の詩」
安定した実力、花組の充実物語る

2013年8月27日

 宝塚花組公演「愛と革命の詩(うた) ―アンドレア・シェニエ―」が、8月16日、宝塚大劇場で初日を迎えました。イタリアオペラの傑作をもとに、灼熱の男役・蘭寿とむさんが、気高き詩人アンドレア・シェニエを演じます。アンドレアと激しい恋に落ちる伯爵令嬢、そして彼女を密かに想う革命の闘士。フランス革命の波にのまれながらも、自らの信念と愛に生きた3人を、ドラマチックに描きます。(フリーライター・さかせがわ猫丸)

 円熟期を迎えつつある花組トップコンビの蘭寿さんと蘭乃はなさん。前回の大劇場公演「オーシャンズ11」で蘭寿さんは、キザな色気が魅力のチョイ悪オヤジという、持ち味そのものなキャラクターを演じましたが、今回はガラリと雰囲気を変えて、フランス革命に生きた高潔な詩人です。

 蘭寿さんが念願だったという「大恋愛もの」を、無垢な伯爵令嬢マッダレーナ・ド・コワニーを演じる蘭乃さんとともに、少女漫画の主人公のようにとことん美しく、宝塚ならではの夢を乗せながら魅せてくれました。

 ――1789年、革命前夜のフランス。コワニー伯爵邸では今日も華やかな夜会が開かれる。だがそこでは、不平等な現実に憤る下僕のカルロ・ジェラール(明日海りお)、着せ替え人形のような毎日に虚しさを覚える伯爵令嬢マッダレーナ(蘭乃)、そして夜会客の詩人アンドレア(蘭寿)もまた、魂の赴くままに生きたいと葛藤していた。そんな彼らの思いがくすぶる中、ついにフランス革命が勃発。3人の運命は時代の嵐に翻弄されていく…。

 月組から組替でやってきた明日海さんは、この作品が初の花組大劇場公演。フランス革命を機に、革命政府の闘士となりながらも、理想と現実の落差に苦悩するジェラールを情熱的に演じています。明日海さんが花組カラーとどう融合するか、注目が高まる公演となりましたが、芝居にショーにのびのびと実力を発揮。その刺激は組全体を活性化させているようでした。

 この公演で、春風弥里さんが退団します。ジェラールの同志として、冷徹なジャコバン党員ジュール・モランをクールに演じ、ショーでも大活躍。惜しまれる中、有終の美を飾っています。

 善と悪を象徴するAngel White(冴月瑠那)とAngel Black(柚香光)は、作品のゴシックな雰囲気を盛り上げる重要な役柄。舞台芸術家の松井るみさんが手がけた大きな羽根を模した舞台装置も印象的で、振り付けはハンブルクバレエ団に所属する大石裕香さんが担当するなど、優雅さにはとことんこだわっています。あちこちに散りばめられた美しさがより切なく、深い感動を残す作品となりました。

 第2部は「Mr.Swing!」。ジャズのメロディーが軽快な、花組らしい都会的なショーで、名ダンサーである蘭蘭コンビの魅力が炸裂しています。

 花組のダンスが優れているのはいうまでもありませんが、芝居・ショーともに歌のレベルが高いことも印象に残りました。安定した実力を持ったスターがどんどん台頭している、花組の充実を物語ります。

 秋はもうそろそろ目の前? いいえ、大劇場内ではまだまだ、真夏の太陽がギラギラと輝いています。

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【フォトギャラリーはこちら】

【写真】「愛と革命の詩(うた) ―アンドレア・シェニエ―」より、アンドレア・シェニエ役の蘭寿とむ=撮影・岸隆子

◆宝塚・花組「愛と革命の詩(うた) ―アンドレア・シェニエ―」
《宝塚大劇場公演》2013年8月16日(金)〜9月23日(月)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/339/index.shtml
《東京宝塚劇場公演》2013年10月11日(金)〜11月17日(日)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/340/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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