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特集(5)100周年じゃなくてもすごいんです

2013年9月9日

写真:瀬奈じゅん撮影・岩村美佳

――「エニシング・ゴーズ」の後も次から次へといろんなご予定があるとうかがっていますが、まずは「クリエ・ミュージカル・コレクション」。こちらはミュージカルのスターさんが総出演といった感じですが。

 すごいですよね。「私なんかが出ちゃっていいのかしら?」っていう感じですが、何か違う風を吹き込めたらいいなと思っています(笑)。私の名前があの中に入っていることが、自分の中ではすごい違和感なんですけど、その違和感を楽しみたいなと(笑)。

――いや、大丈夫だと思いますけど。

 ホントですか? でもね、これが山口祐一郎さんの復帰にもなるので、祐さまと一緒に…。

――祐さま。

 そう、祐さまとご一緒できるのはすごくうれしいので、祐一郎さんを盛り上げていきたいなと思いますね。

――来年は、森公美子さんとのダブルキャストもありますよね。「シスター・アクト 〜天使にラブ・ソングを〜」で、「ええ? このダブルキャスト?」という意外な組み合わせです。

 そうなんですよ。「全然違う2人だね」って。それが相乗効果になればいいなと思ってます。私、お話したこともなくて、森さんといえば豪快なイメージだけなんですけど、たくさん勉強させてもらおうと思ってます。

――ご自身で今、やってみたい役とか、ありますか?

 女を売りにしている女をやってみたいですね!

――おお!!

 日本物も好きなので、日本物の遊女の役とか、やってみたいなと思います。私、「吉原炎上」が大好きで、ああいう「女の戦い」に、すごく憧れるんです。あとは、子どもがいる役がやりたいです。母性って、子どもに対しても男性に対しても、女性にとって一番大切な魅力なんじゃないかと思うんですね。だから、その母性を磨くためにも、子どものいる役をやってみたいです。

――来年は、宝塚歌劇団も100周年を迎えます。何かしら関わってこられたすべての方にとって、記念すべき年になるのかなと思うんですけど、瀬奈さんご自身は、そういう年を、どんな風に過ごしていきたいと思ってらっしゃいますか?

 世間では「100周年、100周年」ってすごく騒いでいるけれど、「いやいや、宝塚は100周年じゃなくてもすごいんですよ」と思うんですよ、私は。

――確かに、そうかもしれませんね。

 「100周年? 別に、続いて当たり前でしょ?」ぐらいの気持ちでいるので(笑)。あんな夢の世界はないし、私は誇りに思っています。寿ひずるさんにしても、杜けあきさんにしても、あの帝国劇場の広い空間を、ひとりで埋めるオーラを持っていらっしゃる。そんな先輩方を誇りに思うし、私も、恥じないようにがんばっていきたいなと思いますね。

 あとはやはり、昨年、「Chanson de 越路吹雪 ラストダンス」で越路吹雪さんの役をさせていただいたときに、「こうやって宝塚の先輩方が切り開いてきた道があるから、いま私たちはこうして舞台に立たせていただくことができるんだな」と思ったんです。だから私も、微力ながら、これから卒業していく下級生のために、道を作っていければと思います。

――今は宝塚を卒業されてから、いろんな舞台で活躍される方も増えているので、それはとても大事ですね。

 大事です。たとえ世代が違っても「同じ宝塚で育った、宝塚でがんばった一瞬がある」というだけで、やっぱり絆があるんですよね。「エリザベート」でも、杜さんは初舞台のときのトップさんだったんですけども、寿さんにしても、春風さんにしても、小笠原(みち子)さんにしても、宝塚時代は一度もご一緒したことないんです。でも、もとタカラジェンヌという誇りと絆があって、それがとても心強くて…それだけで、「ああ、宝塚に入って良かった!」と思えます。

――最後に、今後に舞台人として、また、ひとりの女性として、こんな風になってきたいなという抱負はありますか?

 走り続けて息切れしないように、息の長い、幅の広い女優になりたいというのが目標です。でも、それはおそらくキリがないというか、「ここまできた、これで終わり」ということがないので、細々とでも走り続けられるエネルギーを貯めつつ、人間を磨いて、努力していけるといいなと思います。

――ファンのみなさまにひとことメッセージをどうぞ!

 これからもいろんな色の瀬奈じゅんをお届けできるように、がんばりますので、応援よろしくお願いします。

――今日はありがとうございました。

〈インタビューを終えて〉
 ご自身でもおっしゃっている通り、確かに瀬奈さんは変わった! そして、その「変わりっぷり」が何故かとても嬉しくなってしまったインタビューだった。何故だろう??

 「変わった」瀬奈さんだが、インタビューを振り返ってみて私の中で一番強く心に残ったのは、歌だけでなく何事も「小さなことの積み重ね」だとおっしゃったことだった。そして、順風満帆だと思われていた舞台女優としてのこの4年間の裏に、じつは激しい葛藤があったというお話も意外だった。驚くほどに真面目でストイックな努力家で、どこまでも自分に厳しい瀬奈さん。そんな根底の部分は全く変わってはいないのだ。

 女優としてのこれからの長い道程をきちんと見据えて、小さな努力を積み重ねていく強靭な意思力。そして、そのために敢えて自分をリセットする勇気と決断力にも、感嘆させられた(比べて恐縮だが、私自身もフリーランスで道なき道を切り開いて行かねばならぬ立場だから、なおさらである)。

 そんな瀬奈さんだからこそ、安らぎ、癒される「ホーム」を得られたことを喜ばしく感じてしまうのかもしれない。これまで以上に心置きなく戦えることで、女優としての新たな境地を見せてくれるに違いない。「エニシング・ゴーズ」でもきっと、一皮向けたコメディエンヌっぷりを披露してくれることだろう。(中本千晶)

◆「エニシング・ゴーズ」
《東京公演》2013年10月7日(月)〜28日(月) 帝国劇場
《大阪公演》2013年11月1日(金)〜4日(月) シアターBRAVA!
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/anything/

(関連リンク:瀬奈じゅんオフィシャルウェブサイト)
http://www.jun-sena.jp/index.html

《インタビュアープロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)、「なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか」「ヅカファン道」(東京堂出版)。2013年9月に「タカラヅカ流世界史」(東京堂出版)を出版。スターファイルでも「ヅカナビ」連載中。

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