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特集【公演評】舞台「小野寺の弟・小野寺の姉」
芸達者な役者たちがチームワークで魅せる

2013年9月5日
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 片桐はいりと向井理が姉弟を演じる舞台「小野寺の弟・小野寺の姉」が上演された。過去にも映像作品で共演を果たしているふたりは息ぴったり。芸達者な共演者たちとともに、ビッシリと埋め尽くされた客席を沸かしていた。(フリーランスライター・黒石悦子)

 脚本・演出は、ドラマ「怪物くん」や「妖怪人間ベム」、TVアニメ「TIGER & BUNNY」など、数々のヒット作を手掛ける西田征史。今回上演された作品は自身が書いた同名小説のアナザーストーリーで、木造一軒家にふたりだけで暮らす姉弟、小野寺より子と小野寺進のある一日を描いた物語だ。

 40歳、30歳を超えたいい年齢になるにも拘わらず、未だ独身のふたり。お互いを密かに思いやって仲良く暮らしてきたが、ある日、些細なことをきっかけにケンカになってしまう。面と向かって素直に気持ちを言えない進は、より子がいつも聴いているラジオ番組にメッセージを投稿。運良く採用され、読み上げられることになったが、その日、小野寺家にはより子の同級生・手塚英作率いる自主制作映画の撮影隊がやってきて…。

 軽快なテンポで展開し、最後には心がホッと温まるハートフル・コメディ。誰が見てもわかりやすいストーリーを、個性的な役者たちが愉快に彩っていく。何よりも役者陣の芸達者ぶり、面白さを改めて感じた舞台だった。

 向井理は今回が3作目の舞台出演。頭には常に寝ぐせがあって、マイペース。何でも姉まかせ、根暗で自分では何もできない進役は、これまで抱いてきた知的でクールな向井のイメージとは正反対の役柄だ。片桐はいり演じる姉のより子が常に弟を気にかけているのと同様に、観ているファンもきっと「放っておけない」と思うであろう佇まいで、新たな一面をのぞかせた。

 一方の片桐はいりは、しっかり者の姉という抑えた役柄。向井とは逆パターンで、これまで多く演じられてきた個性的な役柄とはちょっと異なるイメージだ。しかしこのふたり、最初は異色の組み合わせ!?と思われたが、観ていると、ほどよい空気感でしっくり。絶妙なバランスで魅せた。

 撮影隊のメンバーは、ユースケ・サンタマリア、森谷ふみ、平田敦子、片桐仁、山内圭哉ら、濃いキャラクターを持つ面々に、木南晴香、野村周平のふたり。三流役者・高倉朋之進を演じる山内や、ちょっと可笑しなご近所・山縣はじめを演じる片桐仁が、登場するシーンだけでひと笑いを起こし、娘の代役で映画出演することになった江口のぶよを演じる平田は、圧倒的な迫力で舞台をひっかき回す。さらには、気弱な監督役がピッタリのユースケ・サンタマリアに、自信なさげな主婦でカメラマン役の森谷、常に棒読みの女優役の木南、暇さえあればツイッターに投稿する演出助手役の野村と、ひとクセある人物を演じる役者たちが絶妙なチームワークで展開していくから、目を離す隙がない。

 とはいえ笑いだけではなく、進がなぜ気持ちを素直に出せないのかが判明するシーンや、姉にもらって大事にしていた置き物を雨に濡れながら必死で探すシーンなど、要所でじんわりさせる。観て笑っているうちにふと自分の家族を思い出したり、ちょっぴり昔を顧みたり…。どこか懐かしさを覚える作品だった。

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【写真】「小野寺の弟・小野寺の姉」公演より=提供:ホリプロ 撮影:清田征剛

◆舞台「小野寺の弟・小野寺の姉」
《東京公演》2013年7月12日(金)〜8月11日(日) 天王洲 銀河劇場
《大阪公演》2013年8月22日(木)〜28日(水) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
※公演は終了しています

《筆者プロフィール》黒石悦子 兵庫県出身。情報誌の演劇担当を経て、フリーライターに。演劇、映画などエンタテインメントを中心に、雑誌やWEBなどで執筆。グルメや街歩きスポットなどの取材・執筆も行う。

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