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特集(5)とにかく、死ぬ気で頑張るだけ

2013年9月13日

写真:早乙女太一「元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉」より早乙女太一「元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉」より=撮影・小林勝彦

――最後に、この舞台で、早乙女さんから見て、何か伝えたいことはありますか?

 伝えたいメッセージ…。

――舞台の魅力でも。

 舞台の魅力…、何ですかね(笑)。

――今回の作品では、舞台で自転車に乗ることが話題の一つになっています。実際に舞台を観て、その、目に見えてわかりやすい部分での楽しさも、もちろんあるのですが、私はむしろ、死を覚悟した若者たちの、生きる力が深く心に響く舞台だったと思い、いい意味での驚きがありました。早乙女さんは、どちらかというと、お客様には笑ってほしいですか?

 まあそういう姿を見て笑ってもらえればいいんですけど、こっちはもう死ぬ気でやってるので。

――死ぬ気でやっている姿を見て、笑ってもらう。

 はい。この作品のキャラクターたちがすごいなって思うのは、今、命をかけることって、あんまりないじゃないですか。この時代でもいなかったと思うんですけど、この人たちはほんとに一つのことに命をかけて、まっすぐで、生きるっていうことをすごく思って、生きてる人たちなので。

 そこはもう、僕たちにはその感覚が分からないですけど、自分でもやってて、この人たちすごいなって思うので。だから、人それぞれだと思うんですけど、その魅力というか、感銘を受ける、何かメッセージっていうのは、結構いっぱいあると思うんですよね。

 とにかく、みんな死ぬ気で、もう死にながら頑張ってるので。それを見て笑ってもらえて、何かほんとに今日みたいにそうやって感じてくれる部分があれば、それはもうお客さんに任せるので、はい。

――観に来ていただいて、感じてもらいたい。

 感じなくてもいいですよ、感じてもらえれば嬉しいですけど(笑)。

〈インタビューを終えて〉
 涼しげな目元、シャープな顔立ちで一見、クールな印象がある早乙女さん。しかし、実際に対面した早乙女さんからは、むしろ、温かみが感じられた。早乙女さんが発した言葉を文字だけで見ると、もしかしてそっ気ない印象を受けるところがあるかもしれない。しかし、話をしてくださったときの、その目は、その表情は、とてもやわらかいもので、言葉を選びながら、ご自身の考えを語ろうとしてくださっているのだな、という空気が伝わってきた。

 幼い頃から舞台に立ち、「100年に1人の天才女形」と言われて注目を浴び、観る者を引きつけて離さない独特の存在感がある早乙女さん。そんな彼が「元々僕、お芝居が苦手で、下手くそなんですけど、下手でも何でも、とにかくこの舞台の上で一生懸命頑張っていれば、たぶんキャラクターと合うんじゃないかと思って」とおっしゃったことに正直驚いた。特に前半の部分。俳優という、答えのない仕事に取り組む中での葛藤が、もしかしてそこに表れているのかもしれない。

 誇張も、謙遜もない、21歳の若者の、飾らない言葉。早乙女さんの口から出る言葉は、そんな風に感じられた。そして、一日の終わりにその日の自分をふり返ったりと、そんな日常の感覚をちょっぴり共有できたことが、なんとも嬉しいインタビューだった。(桝郷春美)

◆「元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉」
《大阪公演》2013年9月5日(木)〜18日(水) 新歌舞伎座
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/20130905.html

(関連リンク:早乙女太一オフィシャルサイト)
http://taichisaotome.com/

(関連リンク:早乙女太一オフィシャルブログ)
http://ameblo.jp/saotometaichi-blog/

《インタビュアープロフィール》桝郷春美(ますごう・はるみ) 福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当し、2012年1月よりフリーランスのライターとして活動。朝日新聞デジタルでの取材・執筆のほか、人物ルポを中心に取り組む。

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