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特集(1)適材適所の三角関係

2013年9月17日

写真:「春雷」より「春雷」より、ウェルテル役の彩凪翔(写真右)・ロッテ役の大湖せしる(中)・アルベルト役の鳳翔大(左)=撮影・岸隆子

 彩凪のウェルテルをみていて一番思ったのは「これはまさに、今だからできる役どころだなあ」ということだった。美しくノーブルな出で立ちはもちろんのことなのだが、今の年次だから表現し得る未成熟な若者の危うさが、このウェルテルという役にぴったりなのだ。その意味で、最適のタイミングでこの役を演じるチャンスを得たといえるだろう。

 ヒロインのロッテを演じたのが、先ごろ男役から転向したばかりの大湖せしる。ロッテという女性は姉妹の長女であり、しかも母親に早く先立たれてからは、家族の中で母親的な役割を求められてきた女性である。ただ可愛いだけでなく、母性や包容力も持ち合わせている女性だが、そこが男役から転向した大湖の持ち味によくはまっていて、これまた適役だった。

 そして、ロッテの夫となるアルベルト。この役は恋敵としての嫌みな部分が、原作より誇張してわかりやすく描かれていたが、すらりとした長身で美貌の男役である鳳翔大なら許せてしまう。時折見せる、彼なりの不器用な愛情表現の配分具合も絶妙で、客席の中には「私が結婚するならアルベルト!」と思った人もいるかもしれない。

 そして、タカラヅカ版で重要な役割を果たしたのが、身分違いの恋に対しても迷いなく突き進んでいくロルフ(真那春人)である。ロルフは、ウェルテルの叔母に仕えていた作男で、モデルとおぼしき人物は原作のウェルテルの語りの中に登場しているが、タカラヅカ版では優柔不断なウェルテルとは対照的な、決断力と行動力のある男として描かれる。

 ロルフは、ウェルテルが実現できない理想を実現しようとするわけだが、その悲劇的な結末が、ウェルテルをも死に追いやることになる。ロルフの存在が、この作品のストーリー展開をよりわかりやすく、メリハリの効いたものにしているような気がした。

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