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特集(3)「ノーマルかどうか」なんてどうだっていい

2013年9月18日

写真:「ネクスト・トゥ・ノーマル」より「ネクスト・トゥ・ノーマル」より=写真提供:東宝演劇部

 そう、他者への依存は人の心を蝕む源泉だ。死んだはずの息子、夫、薬物、治療…さまざまなものにしがみつくのをやめ、たったひとりで世の中に立ち向かう決意をしたとき、ダイアナの表情に初めてキラキラした生命の息吹が蘇ったように思えた。同時にそれは、人が「生きよう」とする力に、あらゆる最新の医学療法や薬物がひれ伏した瞬間でもあった。

 依存ではなく自立。自分の足で踏み出す勇気を持つこと、それが「生きる」ということであり、自分の人生を生き切ることさえできれば「ノーマルかどうか」なんてどうだっていい。むしろ、周囲の評価を恐れることなく歩いて行くこと、それが真の「ノーマル」への第一歩なのではないか。

 特殊なテーマを扱っているかにみえる作品だが、そこから受け取ることができたメッセージは極めて普遍的なものだった。逆にそれは、メンタルの問題で苦しんでいるような人たちと、自分を「ノーマル」だと思っている人たちとの間にはじつは何の隔たりもないのでは?という問題提起なのかもしれないとも思う。

 むろん、この作品から受け取るものは、その人の経験や立場によってそれぞれだろう。果たして自分はどう感じるのか? 自分にとっての「普通」と「普通の隣り」とは何なのか? そんなことを考えてみる契機としても、一見してみる価値はある作品だ。

◆ミュージカル「next to normal」(ネクスト・トゥ・ノーマル)
《東京公演》2013年9月6日(金)〜29日(日) シアタークリエ
《兵庫公演》2013年10月4日(金)〜6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/ntn/

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)、「なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか」「ヅカファン道」(東京堂出版)。2013年9月に「タカラヅカ流世界史」(東京堂出版)を出版。スターファイルでも「ヅカナビ」連載中。

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