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特集(4)記憶の波にのみこまれていく姿は圧巻

2013年10月21日

写真:「日のあたる方へ」より「日のあたる方へ」より、ジキル/イデー役の真風涼帆=撮影・廣江修

 そしてついに、ジキルは自らが新薬の被験者となることを決意。部屋には誰も入れずただ一人、カメラを設置し、実験を開始した。ほどなく彼の心の奥にある過去の記憶が蘇る。教授になるためのレポートが素晴らしい出来上がりになったこと、マリアと出会って心ときめいたこと、そして、目の前で両親が惨殺されたこと…。薬を服用して8時間後、目覚めたジキルにその間の記憶はなかったが、なぜかクローゼットに季節外れの毛皮のコートがかかっているのを発見する。と同時に、朝刊でペドロが毛皮のコートを着た男に殺害された事件を知る。

 ジェラルドを演じる美城さんのよくとおる独特の声は、一瞬にして客席を惹きつけてしまう。今回は定年前の刑事役ですが、公演が決まると「美城さんはどんな役?」と真っ先に気になるほど、もっともっといろんな役を観てみたいと思う役者さんです。今回も安定の演技力でした。

 ジェラルドがやってきたとき、事件で行方不明になった男の子はジキルのことなんだなとすぐに予想がつくだけに、ジキルが新薬を飲む場面になると、思わず手に汗を握ります。当時、2歳半だった彼が目撃した残酷すぎるシーンが蘇ることに目を背けたくなり、指の間から舞台を観てしまいそう。

 完成したレポートに喜ぶ姿、15歳の初恋にときめく姿、そして幼児に戻ったジキルが恐怖におののく姿…縞状にやってくる記憶の波にジキルがのみこまれていく姿は圧巻でした。

 そして、これを機に生まれてしまったジキルの中の別人格イデー。それは日常生活においてもたびたび顔をだし、ジキルの意志とは関係なく、邪悪な姿をさらけだします。そのスイッチが切り替わる様子が、演技力の見せどころ。ふだんは両親のことを「お父さん、お母さん」と呼び、敬語で話すほど上品なジキルが、イデーになると顔つきから歩き方まで変身し、鬼気迫る殺人鬼になる姿は本当に恐ろしく、真風さん渾身の演技でした。

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