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特集(3)水野の意欲的な脚本にうなる

2013年11月11日

写真:「やわらかいパン」公演より撮影・沖田悟

 小学生時代のノスタルジックなエピソードと、荒唐無稽なななこの幻覚、そして難病で苦しむななこの現実のコントラストに一瞬言葉を失う。しかし、シリアスな難病ものに終わらないのが本作の真骨頂。三郎は、幻覚の中でななこがピンチに陥っていると知るや、ひとすが開発した「どこでもドア」によって、ななこの幻覚に入り込み、彼女を助ける戦いに挑んでいく。そして、その戦いを通じて、三郎は自身とななこが抱えるトラウマに直面するのだった。

 リアルと幻覚を自在に行き来し、後半になるにつれ、登場人物たちが抱える問題やトラウマが次々と明らかになる物語の面白さにぐいぐいと引き込まれる。そして、笑いをふんだんに盛り込んだファンタジーの手法をとりながら、そこに難病、災害、高齢化、過疎化、児童虐待、性的虐待など、日本そして世界のどこかで起きている悲劇を等身大のものとして描きこんだ、水野の意欲的な脚本にうなった。

 アクション系女優のイメージが強かった水野の(この舞台でもキレのあるアクションを披露する上、思わぬコメディエンヌぶりも発揮)、ストーリーテラーとしての才能には舌を巻く。また、それら多様な要素を粗削りな部分をあえて残しながらすべて盛り込み、キッチュな味つけをプラスしてエンタテインメントに仕上げたオクイシュージの演出も見事。ちなみにオクイは4役をこなしているが、とくに村のご意見番的存在の和尚の役がふるっていて、「東京ダイナマイト」のふたりに負けず劣らず笑わせる。

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