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特集男役19年 宿る「神ワザ」

2013年11月28日

写真:CHIHARU「MAQUIA」の撮影現場でメークするCHIHARU=東京都渋谷区、郭允撮影

 峠越えする馬上のナポレオンが、絵から抜け出たよう。2014年の新春を飾る宝塚大劇場(兵庫県)での公演「眠らない男ナポレオン」のポスターだ。

 「ひと目でナポレオンとわかるように。精悍(せいかん)な皇帝に」。スターをメークしたヘアメーキャップアーティストのCHIHARUは言う。

 「男役19年。鍛えられました」。矢吹(やぶき)翔の名で初舞台を踏んだのは1986年、バブル前夜だった。時代の空気に乗るように稽古に励み、よく遊んだ。宝塚歌劇団の代表作「ベルサイユのばら」の13年ぶりの再演舞台にも立った。

 走っていた。11年目の96年、ウィーン発ミュージカル「エリザベート」を、所属する雪組で初演することになった。「殺気立ってました。不安を抱え、がむしゃらにレッスンして」

 宝塚歌劇は、性も国もメークで超える世界。さまざまな役と出会い、悩みながら日々研究した。何かつかめたかなと思い始めたのは「華麗なるギャツビー」の新人公演だった。妻に浮気される気の弱い男の役。思いつめた目にするには? 「まゆを1ミリさげて描くだけで情けない感じになる。すごいなって」

 役作りは、実は、そのままメークの探究につながっていた。この人、もっときれいになれるのに……。舞台の仲間に助言することも頻繁になった。メークの道に進もうと思い、通信教育で勉強した。

 そして2004年に退団し、飛びこんだヘアメーク界。「36歳のスタート。異端児でもいい」と思った。

 テレビや舞台、雑誌と、夢中でメークの仕事を積み重ねた。すると、俳優たちから「次もお願いしたい」という声が次々舞い込む。雑誌では“神ワザ”も披露。ビューティー月刊誌「MAQUIA」編集主任、木下理恵は「モデルはもちろん、どんな女の子でもかわいく変身させられる人」と太鼓判を押す。

 宝塚との再会もあった。

 歌劇団が数年前から、ポスターやカレンダー撮りのメークを依頼し始めたのだ。宝塚時代に培った感覚がさえた。役のイメージに迷う現役のタカラジェンヌも相談してくるようになった。舞台や役柄に思いをめぐらせ、タカラジェンヌをよりチャーミングに磨き上げる。

 宝塚時代からずっと「自分の顔にコンプレックスを感じてきた」と明かすCHIHARU。だからこそ、自分を見つめ続けたという。

 「みんな、もっと自分を見つめて、愛して。メークで自信をもってほしい。メークは心なんです」=敬称略(河合真美江)

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