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特集カリカリ梅 夢は続く

2013年11月28日

写真:遠山昌子元祖「カリカリ梅」の6代目で元男役の遠山昌子=前橋市、山本和生撮影

 カリッとした食感とほどよい甘酸っぱさ。宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)の土産物ショップに群馬産の「カリカリ梅」が登場したのは、8年前のことだ。

 製造元の赤城フーズ常務遠山昌子(34)は、実は、元宙(そら)組の男役遥海(はるみ)おおら。タカラジェンヌから、家業を継ぎ、経営の世界へ転身した。

 2005年、大劇場最後の日。組長の出雲綾が「ショップの『カリカリ梅』をよろしく」と異例の紹介をしてくれた。その日、商品は完売。ファンや上級生の愛を感じた。

 もともと、大の宝塚ファン。同郷の元トップスター紫吹淳(しぶきじゅん)のファンクラブにも入っていた。前橋市内の進学校へ通いながら、レッスンのため毎日東京へ新幹線で通った高校時代。必死で入った宝塚音楽学校で、まず同期たちの美しさに打ちのめされた。

 01年の入団2年目で巡り合った「ベルサイユのばら」。男役の同期4人のうち2人が選ばれる場面に、自分の名前はなかった。

 決してトップを目指していたわけではない。「オンリーワンの存在になりたかった」。入団3年目までは劇団のレッスンに毎日通い、海外旅行にも行かなかった。だが、役はつかなかった。

 「赤城フーズ」は、120年続く老舗の漬物屋。祖父の開発した「カリカリ梅」が目玉商品だ。その祖父がそのころ体調を崩した。5代目の父が孤軍奮闘。跡取りはいなかった。「そろそろ恩返しのタイミングかな、と思った」

 退団を打ち明けた時、「あんた、組長になるまでいるっていったやん」と出雲に問い詰められた。「組長ではなく、社長目指してがんばります」。思わずこう返した。

 退団の2週間後には会社にいた。大学の通信教育で経営を学び、群馬中小企業家同友会前橋支部で、経営理念の大切さを教わった。

 社員に「そういう考えがマリー・アントワネットなんだよ」と皮肉を言われたこともある。すれ違う思い。人知れず涙したことも。音楽学校時代は講堂掃除責任者。略して「講責」。ビシビシ注意する立場だった。でも、言い放つだけでは人の心は離れていく。そのあんばいが難しく肝心なところと感じた。

 工夫が始まった。育児・介護休業を充実させ、パートから正社員への登用制度も採り入れた。途切れていた新卒採用も復活。職員と一対一で話す機会も設けた。周りの見方が少しずつ変わっていくのも感じている。

 夢は200年企業。「これって宝塚と同じだ」。そう思うと奮い立てる。=敬称略(谷辺晃子)

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