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特集(4)咲妃、遠野あすかのような小悪魔的魅力

2013年12月3日

写真:「THE MERRY WIDOW」より「THE MERRY WIDOW」より、ダニロ伯爵役の北翔海莉(写真右)ハンナ役の咲妃みゆ(左)=撮影・廣江修

 ――大使館にやってきたダニロは、ハンナと顔を合わせ仰天。なぜなら2人はかつて恋人同士だったからだ。互いに「自分が捨てられた」と信じているため、さっそくののしりあいが始まる。別れの原因がすれ違いと誤解だったことが判明してもなお意地を張り、ケンカはますますヒートアップしていく。

 ツェータ男爵にハンナとの結婚を命じられても、「自分はしないが、ハンナが外国人と結婚することは阻止する」と言い切るダニロ。和解とはますますほど遠くなる一方だった。そんな中、カミーユから愛の言葉を書かれた扇をヴァランシエンヌが紛失し、クロモウ参事官が拾うという事件が起こり…。

 ダニロとハンナは再会した途端、皮肉の応酬です。これでもかというくらい嫌味を言いあい、誤解が解けても一歩も引かず。心の奥底では今でも愛しあっているはずなのに、素直になれず挑発を繰り返す。その駆け引きは小粋で可笑しく、時に切なくなるほど。

 特に、1幕の終わりにダニロがハンナの手を取りワルツを踊る際の、大人だけがわかる絶妙な空気感。さらにハンナが仕掛けた勝負に、ダニロがたまらず想いを吐露してしまうものの、最後の一言は絶対に言わない頑固さなど、2人のシーンはドキドキしたりウルウルしたりの連続で、北翔さんの豊かな演技力に翻弄されっぱなしです。

 ハンナを演じる咲妃さんは、ツンとした生意気な娘を装いながら、本当の中身は弱くてけなげ、という娘役の王道キャラクターの一つを見事に演じていました。元星組トップ娘役の遠野あすかさんを彷彿とさせるような小悪魔的魅力があって、北翔さんとの学年差を感じさせない大人っぽさをすでに身につけていることに驚きです。この公演後すぐに東京で「月雲の皇子」の再演が待っていますが、今回とは対照的な、霞を食べているようなヒロインもよく似合っていましたから、研4の若さでこの完成度には感嘆するばかり。やがて大輪の花を咲かせる時がくるまで、どんな成長をみせてくれるのか、とても楽しみになりました。

 ダニロとハンナ。長い間、お互いを傷つけていた誤解が解け、心の内をさらけだす瞬間が訪れてもまだ、彼らの間には大きな障壁がありました。それはダニロにとってのプライドでもあり、ハンナを縛り付ける鎖でもある大きな壁…。ヴァランシエンヌの扇事件にも巻き込まれる中、2人はその壁を乗り越えて、再び手を取り合うことができるのでしょうか。

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