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特集(5)城田の「初演を全然超えてないよ」に奮起

2013年12月18日

写真:加藤和樹撮影・岩村美佳

――そうした活動を経て、今年、ミュージカルの大作「ロミオ&ジュリエット」へ出演されました。そのきっかけは?

 去年「コーヒープリンス1号店」というミュージカルに出演した時に、山崎育三郎君と出会ったことがきっかけです。同世代でこれだけのミュージカルスターが、歌においても芝居においても表現力がある、こんな人がいたんだと思って。存在はもちろん知っていましたけど、初めてご一緒させていただいたのがこの作品で。(山崎さんがロミオ役で出演した)「ロミオ&ジュリエット」の初演も観ていたので、今回その再演があるということで、是が非でも受けようと思いました。彼ともう一度共演したいという思いもありましたし。

――そうなんですね。「ロミオ&ジュリエット」の再演では、「テニスの王子様」で共演した城田さんもロミオ役とティボルト役で出演されていて、敵役にもなるし、同役のWキャストでもありました。製作発表会見で「城田さんとはまったく違う役作りをします」と宣言されていたのが印象に残っています。

 たとえ同じ演出だとしても、演じる人が違えば、違う役作りになると思うんですよね。結果的にやはり違うものになったし、自分では確信していたことなので。今回の「レディ・ベス」もそうだと思いますよ。やることは同じだけど、まったく違うロビンになると思います。

――私も拝見させていただいて、城田さんと加藤さんのティボルトは全然違うなと思いました。加藤さんのティボルトは苦悩が非常に深くて、初演や宝塚版、フランス版と比べても際立っていたなと思いますが、どのように役作りをされたのですか? ほかの作品も観ましたか?

 宝塚版(星組の再演公演)のゲネプロをみんなで観ましたし、フランス版も観ました。

――そうすると、いくつかティボルト像はご自身の中にあって、その上でどのように役作りをされたのですか?

 稽古の最初は自分のやるべきことで精いっぱいだったんですけれども、だんだん落ち着いていくなかで、彼(ティボルト)を突き動かすことは何なんだろうと考えたら、それは、やっぱりジュリエットで。そこに付随して自分の家に対する思いや、モンタギューへの憎しみがある。それらをひっくるめて考えた時に、この人は凄く可哀想な人なんだと思いました。報われない思いというのは強ければ強いほどマイナスに見える。そこだけですね。ティボルトを演じる上で、ジュリエットを愛しているということが自分の核にはありました。彼を突き動かしているのはいつでもどこでも、子どもの頃から変わらずジュリエットだと。

――私の個人的な感想ですが、加藤さん演じるティボルトが刺されて亡くなった時に、「よかったな」と思ってしまったんですよ。あまりにもがんじがらめで、生きるのが苦しそうだったので。

 刺されてよかったとおっしゃるのはまったくその通りで、僕も刺されてよかったと思っているところがあるんです。自分はマーキューシオを殺してしまって、取り返しのつかないことをしてしまった。だから、ロミオに刺されたことで、ようやく自分もこの苦しみから解放されるって。ただ、心残りはひとつだけ、ジュリエットなんですよね。

――音楽的な面でも、ティボルトの歌はかなり難しかったのでは?

 難しいです、凄く。気持ちが凄く入る歌だし、もちろんテクニック的なところもそうで、稽古ではほとんど歌えなかったですね。オーディションの時も。ミュージカルの声楽の基礎を少し勉強してようやく歌えるようになって、本番でだんだん自分の表現したい歌い方になったという感じです。

――感情がのっているので、セリフから歌への切り替えが自然だなと思いました。

 僕もミュージカルを何度か観ていて、歌が上手いなというだけの人もいるし、そんなに歌は上手くないけれども心が動くという人もいて、僕はどちらかというと後者のほうが好きなんですよね。上手いだけじゃ意味がないし、薄っぺらいんですよね。それは、僕も音楽をやっていて思うんですけれども。感情がのらないと、いくら歌が上手くても響かないんです。僕は音がズレようが――もちろん音を外さないに越したことはないんですけれども――それよりもなによりも気持ちで歌おうというのは毎日心がけていたので。「声が出ようが出まいがそんなの知らねえ!」ぐらいの気持ちでやっていたので。

――なるほど(笑)。そんなところが、ティボルトの切羽詰まった気迫のようなものにつながっていたのかもしれませんね。

 キーがギリギリだったので、それもあったかもしれません。余裕を出して歌う曲ではないので。

――再演版のキャストのみなさんは初演版をリスペクトした上で、それぞれに役を掘り下げていて非常に面白く拝見しました。ご自身やほかのキャストのみなさんを見てそういった実感はありましたか?

 とにかく今回は、城田の「初演を超えたい」という思いが強かったんですね。稽古終盤に、ほかのキャストも含めて飲みに行ったときに本音をポロポロッと漏らしたことがあって。それで、みんな火がついたというか。「初演を全然超えてないよ」と言われて、俺もカチンときて。

――そんなことがあったんですね。

 稽古終盤になって、「これじゃマズい」という思いがあったんでしょうね、城田自身に。

――それを聞いて、みなさんはどんな反応を?

 自分たちもわかっていたんですよね。足りていないということが。僕自身もそうだし。初演を超えるためにはどうすればいいか、とにかくやるだけだと。気づいたところはみんなで指摘しあって。カンパニーの仲は凄くよかったので、それは本番にも出ていましたね。その点では、あのカンパニーは本当に素晴らしかったです。若者がガッと熱くなって、それを見守る大人の方たちがいて。

――城田さんをはじめ、初演を経験したメンバーと役について話し合ったことはありますか?

 役への思いについて話したことはないですね。芝居で思うことはそれぞれなので、小池(修一郎)さんに演出されたものを自分で噛み砕いて演じました。

――小池さんの演出は厳しいと聞きますけれど、いかがでしたか?

 厳しいです。細かいところ、指先ひとつまで指示されました。歩き方、立ち方、何から何までですね。稽古中のまだ役が入り切っていない時にも求められるので、それは大変でした。でも、まずは形から入るということも大事だなと思いましたし、形から入ってわかる感情もありました。

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