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特集(1)タカラヅカ流「風共」の流儀

2013年12月17日

写真:「風と共に去りぬ」より「風と共に去りぬ」より、レット・バトラー役の凰稀かなめ=撮影・岸隆子

 言うまでもなくこの作品の原作は、マーガレット・ミッチェルの同名の大長編小説である。映画でも4時間近くかかる大作を約2時間余り(フィナーレと休憩をのぞいた時間である)で収めるのだ。タカラヅカ版ではストーリー全体は大幅にはしょり、観客が観たいと思うであろうシーンに絞って見せていくことになる。

 このあたりの手法は「ベルサイユのばら」と同じだ。ベルばらと同じく、観客のほとんどが映画などで「風と共に去りぬ」のあらすじを「知っている」のが前提で初めて成り立つ手法だ、歌舞伎の「見取り(みどり)」にも近いといえるだろう。

 まだ独身のスカーレットがモテモテであった樫の木屋敷時代をプロローグで表現した後、いきなりバザーの場面から始まる。「金貨で150ドル!」の掛け声で突然注目を浴びるレット。このレット・バトラーの登場シーンはいかにも、タカラヅカ的王子様とは全く違う野性的な魅力をたたえたレット・バトラーらしい。

 そうそう。タカラヅカ版「風共」の主役は基本レット・バトラーである。男役トップスターがスカーレットを演じる、いわゆる「スカーレット編」は、1978年の汀夏子、安奈淳、そして1994年の一路真輝の3人しか演じていない。2002年に轟悠(レット・バトラー)と朝海ひかる・瀬奈じゅん(スカーレット)らによって上演された日生劇場版はレットとスカーレットの、ダブル主人公ともいうべき形であった(おそらく、年明けに公演予定の月組版もこのパターンではあるまいか?)。

 今回のバージョンもレット・バトラー(凰稀かなめ)が主人公だから、「このさよならだけは言いたくなかった…」と哀愁を漂わせつつレットが出て行くシーンで終わる。そうはいっても元々はスカーレットが主人公の話だから、彼女を受け止める役回りでもって、主演としての格もみせねばならないのが、この役の難しいところだ。

 たとえばメラニー(実咲凜音)の死を嘆くスカーレット(朝夏まなと/七海ひろき)が、夫であるレットを差し置いてアシュレ(悠未ひろ/朝夏まなと)の胸に飛び込んで行ってしまうシーン。この一瞬が実はレットの見せ場だと私は思うのだが、台詞もないし、一方ではスカーレットとアシュレが芝居をしているし、難しい場面だと思う。凰稀レットは、この一瞬でレットの優しさと包容力、繊細さ、孤独を表現していて、なかなか見事なものだと思った。

 そしてフィナーレも、昔からのファンにとってはお馴染みの「名場面」が満載で、最後までお楽しみが多い。トップコンビで見せる「タキシード・ジャンクション」、アシュレ役が中心となり、帽子を投げる振りが印象的な「セントルイス・ブルース」、そしてレット役とスカーレット役による軽快でセクシーなデュエット「ナイト・アンド・デイ」と続く。

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