マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集(6)自分が出演したオンエアーを見て研究

2014年1月24日

写真:音月桂撮影・宮川舞子

――退団して1年経った今思う宝塚はどういった存在でしょうか?

 15才から入って、青春時代の全力を注ぎ込んできたところなので、宝塚という場所自体は第2の故郷になっていますし、私自身の基礎を作ってくれたところでもあります。それがあるから今新しいことをはじめられるし、原点なのかなと思いますね。宝塚に入る前が第1章、宝塚が第2章、今が第3章が始まったという感じがしているんです。同期、上級生、下級生たち…一緒に戦って来た戦友たちと普段会うと、全然変わっていないし、すぐに戻れるし、確かにそういう不思議なパワーはありますよね。今も雪組を見にいったりするんですけれど、楽屋に行くと違和感なくそこにいられます。懐かしいともまた違う…何て言うんだろう…。

――「懐かしい」ではないんですね。

 「懐かしい」ではもっと時間が経っている気がするんです。いつでも帰って来れる場所という感じでしょうか。

――実家みたいですね。

 だから「宝塚、我が心の故郷」っていうんだと思います。気持ちでも「第2の故郷」なのかもしれないですね。

――やっぱり特別なんですね。

 そうですね。客観的にすごいところにいたんだなと思います。下級生の頃に少人数口に入れてもらったり、2・3番手の頃に場面を任せて頂いて真ん中にいたときに、ごくたまに踊りながらゾーっとして。「舞台の中心にいるんだ」とか「今組をひっぱっている場所に自分が立っているんだ」とか、変な感覚になるときがあったんです。自分に自信がないわけではないんですけれど、改めて自分の責任の大きさを感じるときがありました。そこを超えて今の自分がいるんだと思います。あっというまの15年で、学校生活を入れたら17年。竜宮城みたいですね。やっと現代に戻ってきて、振り返って夢の中にいたんじゃないかと思うような不思議な時間でした。そのときはそのときで必死でやっていたんですけれどね。

――竜宮城から地上に戻ってきて、この1年間は多くの映像作品に出演されましたね。

 宝塚というひとつのものを終えたあとに、この年齢で新しいことにチャレンジ出来る環境にいれることが幸せだなと思います。芸事ってゴールがないなと思っていて、ゴールを決めてしまうと成長が止まってしまうので。そう思いながら舞台をやってきて、さらに新しいことをはじめたら、本当にゴールはないんだと思ったんです。これで良かったと思うことがないし、新しい課題が見つかってきて、もっとチャレンジしたいと思う好奇心がわいてくるんです。あとは芝居をするということでは同じことなのに、舞台と180度違うんですよね。今、すごい経験をしているんだなと思います。

――ストーリーの順番通りに撮影していかないことがすごいですね。

 そこが一大事ですよね(笑)。最初はすごく戸惑いました。ひとりの人物としてちゃんと見えているのか不安でした。最初に台本を全て頂けていたら、まだ考えようがあるんですけれど、ドラマだと後の台本がまだ出来ていなかったりするので。そうなってくると自分がこう思っていたのに違うということがあって、その切り替えが難しくて、瞬発力がいる世界なんだなと思いました。まだまだ慣れるまでに時間が掛かりそうですけれど、監督さんやプロデューサーさんに畏れずに身を預けていくことが大事だとわかりました。自分が不安な状態でいても、こうしたらいいという指示を信じてやると出来上がりを見たときに心情が繋がっているんです。そういう意味では自分だけで頑張るのではなく、周りのスタッフさん、共演者の方とちゃんとコミュニケーションをとりながら作っていくもので、そこは舞台の稽古と同じですね。安心出来るポイントでした。

――映像ならではの表現についてはいかがですか?

 舞台だったらオペラグラスで見ているような感じですよね。最初はその表現についてもすごく戸惑いました。今までは表現を大きくして、辛いとき、悲しいときだったり、全身を使って見せるものでしたから。例えば目線を外すだけで表現出来るんだと思うと、芝居をしていないんじゃないかという不安がありましたね。自分が出演したオンエアーを見て、これだとやりすぎだとか、これだと違うように伝わってしまうとか、研究しました。次第にそういうのがわかってきて、もしかしたら舞台のときよりも、より深く作りこんでおかないと見えてこないのかなって。舞台なら衣装やセットやオーケストラなどに背中を押してもらってカバー出来ていたけれど、今は自分の素をさらけ出して演技しなければいけないと思うと、より深さを感じて。だからこそ面白いんですけれどね。チャレンジ出来ることが。

――見ている方もだから面白かったりするんですよね。舞台も映像も、その違いが面白かったりもします。

 そうですよね。今は舞台から映像に行った俳優さんがいたり、また、映像で活躍されていた方が舞台に出たりすると違ったりもしますよね。ちゃんと切り替えられたらいいなと思いますね。舞台のものを忘れるわけではなくて、それはちゃんと自分の中に残してあって、でも新しいことをはじめるので引きずりたくはないし、新しいことは初心者なので、新人と同じようにきっちり積み重ねていきたいなと思います。

続きを読む

戻る

バックナンバー

宝塚歌劇一覧へ>> 舞台一般一覧へ>> 動画掲載記事一覧へ>> 過去記事一覧へ>>

過去記事一覧へ>>

ページトップへ戻る

Astandについて個人情報著作権利用規約特定商取引会社案内お問い合わせ