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特集(4)トニー賞に輝いた、パペット・ミュージカル

2014年1月31日

写真:NYブロードウェイ観劇レポート「アベニューQ」の 劇場前=撮影・岩橋朝美

 パペット(人形)・ミュージカル「アベニューQ」は、「ブック・オブ・モルモン」の作詞・作曲にも参加したRobert Lopezが、Jeff Marxとともに作り上げ、2004年のトニー賞作品賞に輝いた作品。パペットを「セサミストリート」のパペット・クリエイターが手掛けただけに、ビジュアルはまさにセサミストリート。だけれど、その内容は、職にあぶれた落ちこぼれがあつまるアベニューQ(Q番街)を舞台に、人種差別、ゲイ差別など、さまざまな差別を皮肉り、パペット同士の過激なベッドシーン(劇場入口には“This Show Contains Full Puppet Nudity〈このショーにはパペットのフルヌードが含まれます〉”という注意事項があり、笑わせる)なども盛り込んだ、かなり毒の効いたコメディだ。

 ステージ上にはパペットと役者が混在し、失業中のユダヤ系アメリカ人、隠れゲイの共和党員、インターネット中毒のモンスターなど、多様なキャラクターが登場し笑いのネタにされるが、なかでも英語が下手で、学歴があるのにチャンスに恵まれないと嘆く日本人には身をつまされる。全員が何か問題を抱え、互いを励まし合いながら生活している中、無意識にこぼれた差別的な発言に端を発して歌われる“Everyone's A Little Bit Racist”がとても印象的だ。そのシチュエーションと「みんな、ちょっと差別主義者」という歌詞に、あからさまな差別はしていないつもり、けれど何かと人をカテゴライズすることも差別かもしれないとハッとさせられる。歌詞と対照的に、曲調とパフォーマンスはとても明るく楽しい。

 「ブック・オブ・モルモン」同様、こういったタブー視されがちな難しいテーマを笑いに昇華して観客に提示し、観客も思う存分ドッカンドッカン笑うところに、アメリカの懐の深さを感じた。また、パペット・ミュージカルながら、人形を動かす役者が黒子でなく、彼ら自身も表情で演じる点も感情移入がしやすかった。

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