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特集 (4)語りかけ、駆け抜け、押し寄せるタップ

2014年2月4日更新
写真:「DANCE TO THE ONE ~A Tap Dancer’s Journey~」公演より=撮影・宮川舞子 「DANCE TO THE ONE ~A Tap Dancer’s Journey~」公演より=撮影・宮川舞子

 「DEDICATION」では、マサ・シミズのアコースティックギターが奏でるジャクソンファイブの「I'll Be There」に乗せ、熊谷がタップを踏んだ。当日パンフレットには「未来とは子供たち(略)自然のすべての恵みを 美しいものすべてを 故郷へ捧げる」とある。幻想的でロマンティックなメロディーと、一つ一つ、確かめるかのように丹念なタップが心に沁み入った。

 子供たちの姿を映した映像と、ウェア&オルセンの演奏による「TO THE W.150 ST.」を経て、総タイトルにもなっている「DANCE TO THE ONE」へ。無音の中、熊谷のタップだけが響き渡る。観客一人一人に語りかけ、あるいはギャロップさながらに駆け抜け、かと思えば波のように押し寄せる、渾身のタップ。熊谷が、様々な技術を習得すると同時に、この世に溢れる無数の音に耳を傾け、形にしてきた証だ。タップに限らず多くの至芸が、知的作業と果てしない情熱の産物であることに、改めて感じ入る。そうした域に達したアーティストは皆、孤高だ。それでいて、場内には彼を支える仲間もいる。アーティストそれぞれの孤独と連帯にも思いを馳せる一コマとなった。

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