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特集(5)蘭寿とむ、最後の最後まで使命を果たしてくれた

2014年2月19日

写真:「TAKARAZUKA夢∞眩」より「TAKARAZUKA夢∞眩」より、蘭寿とむ=撮影・岸隆子

 ショーはメガステージ「TAKARAZUKA夢∞眩」。

 幕には宇宙を思わせるバックに「宝」「塚」「夢」「眩」の文字が丸く浮かび、開演前から神秘的なムードを漂わせます。いきなり銀橋に現れたのは、黒とピンクに彩られた蜘蛛男の明日海さん。指先が異様に長い手袋をした妖艶なコスプレがキュートです。そして華やかなオープニングへ。全員がシルバーのラメ衣装の中、全身ゴールドの蘭寿さんが登場。テーマソングも覚えやすく、一気に盛り上がります。

 華形さん、望海さん、芹香さんがバケーションに出かけるシーンでは、女装の悠真倫さん、天真みちるさん、羽立光来さんにご注目。特に目を引くのが、先ごろ人気テレビ番組で「タンバリン芸」を披露して、お茶の間での人気も沸騰した天真さん。明るいキャラクターが陽気な舞台を何倍にも盛り上げ、元気いっぱいのラインダンスも組み込んで、楽しさ満載のシーンとなりました。

 今回の目玉はなんといっても、マドンナのコンサートでトップダンサーもつとめたKENTO MORIさんが振り付けを担当したシーンでしょうか。銀狼となった蘭寿さんはムーンウォークも披露し、闇のボス風なルックスがひそかにカッコいい高翔みず希さんや、歓楽街に生きる若者たちとともに、武道を連想させる激しいダンスを展開。この公演で退団するダンサー月央さんを筆頭にした花組生たちのシャープな動きは、世界トップレベルダンサーの要求にもしっかりと応えていました。

 明日海さんが少年のようなスタイルで登場し、ジョーカー2人に不思議な世界へ導かれるシーンも幻想的です。これぞ明日海さんらしいシチュエーションかも。ジョーカーは登場した瞬間、顔を見なくても柚香さんだとわかるあたり、もはや誘惑専科と呼んでいいかもしれません。もう一人のジョーカー和海しょうさんは、伸びやかな歌声を聴かせてくれました。

 フランス人形役の仙名彩世さんはしなやかなダンスが美しく、パレードでのエトワールもつとめていて、歌って踊れる実力派の本領を発揮しています。

 ほかにも望海さんと蘭乃さんが真っ赤なジャンプスーツで踊るポップなシーンや大人数のスパニッシュ、軍服にマントを翻す王子様スタイルのシーンなど、明るくて華やかなシーンが連続し、退団の湿っぽさはあまり感じさせない構成でした。

 最後はもちろん黒燕尾です。大階段に男役たちが三角形を作り、シンプルでオーソドックスな振付に伝統美を堪能し、蘭寿さんと月央さんが2人で踊る場面も印象に残りました。

 最後には蘭寿さんが銀橋にひとりで立ち、お得意の掛け声「フォッ」で締めくくり。これこれ! これが聴きたかったんです。

 花組で育ち、途中、宙組にも在籍しましたが、再び花組に戻り、大輪の花を咲かせました。振り返ればこの古巣がやっぱり、一番ぴったりの場所だったのではないでしょうか。宝塚でしか味わえない、濃縮した男役のキザリをとことん体現し、世の女性を(時に男性も)酔わせた蘭寿とむ。

 最後の最後まで、その使命を果たしてくれました。

【フォトギャラリーはこちら】

◆「ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛―」
《宝塚大劇場公演》2014年2月7日(金)〜3月17日(月)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/363/index.shtml
《東京宝塚劇場公演》2014年4月10日(木)〜5月11日(日)
⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/364/index.shtml

《筆者プロフィール》さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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