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特集(3)自分で習得した確実性と、これでいいのかという不安

2014年2月21日

写真:平原綾香撮影・岩村美佳

――サックスの奏法で歌うということは具体的にどういうことですか?

 サックスで難しいフレーズを吹く時に、吹けないことがよくあるんですね。そういう時には、一度サックスを置いて、歌でサックスのフレーズを歌ってみるということをよくやっていたんです。

――そういった方法は、サックス奏者の間では一般的なんですか?

 一般的かもしれないですね。とくにジャズのビッグバンドでは、みんなでフレーズを合わせながら、隣の人と「ここのフレーズは“バンッル”だよね」「違う。“ドゥドゥッ”だよ」というやりとりをします。そうしたやりとりを、私は小さな頃からよく見ていたので、こんな風に歌で打ち合わせするんだなと思っていたんです。父にも「サックスが吹けない」と相談しに行くと、「一度歌ってごらん」と言われて、歌って練習してからサックスを吹くと、不思議と吹けるようになるんです。だから、歌とサックスは凄く密接なんだなと感じていて、ちょっと引っ込み思案で、歌を歌うことに慣れていなかった頃は「サックスを吹くぞ」と思いながら歌うと、素直に歌える自分がそこにいて。それは今もそうです。10年歌ってきて、やっと歌というものが少し見えてきましたけど、どこか恥ずかしさもあるんですよね。

――ご自身を楽器だと思って距離をとる、すなわち客観視すると、歌いやすいということでしょうか。

 歌い慣れていないんだと思うんです。もちろんステージはたくさん経験していますが、歌の基礎よりサックスの基礎で歌っているという自覚と、「声が出ない」「できない、できない」と何度も壁にぶち当たってきたので、自分でひとつひとつ習得してきた確実性があると同時に、本当にこれでいいのかなという不安もあります。「ラブ・ネバー・ダイ」のクリスティーヌはオペラの発声なので、また全然違いますが、あまりにもオペラ、オペラ然として歌いすぎても、クリスティーヌの役や歌詞のイメージとは違ってしまうようにも思います。とても少女性を残した、でも大人のクリスティーヌを、どうやって演じるかをまだ考え中です。

――平原さんはクラシックの曲をたくさん歌っていらっしゃるけれども、発声はクラシックではないですものね。むしろクラシックをポップス風やジャズ風に歌うことで、クラシックになじみのないリスナーをも魅了していると思います。

 音楽学校を出ている歌手というと、だいたい声楽科を出ていると思われがちなんですよね。私はずっとサックスを専攻していたのに、「平原綾香は声楽科のわりには、声楽っぽくないよね」とインターネットの何かの書き込みで見てしまって、その時は「私、声楽科じゃないのに〜」と思いました(笑)。

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