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特集 (4)日本初演でのハプニング

2013年10月1日更新
写真:撮影・伊藤華織 撮影・伊藤華織

――ケン・ヒル版の「オペラ座の怪人」ならではの魅力を教えてください。

 パッション、ペーソス、ユーモアにあふれた芝居らしい魅力に満ちた作品です。芝居とは1本筋が通っていれば、このようなシンプルなものでいいんだよと教えてくれる作品でもあります。ぜひ、ご覧になって、笑って泣いていただきたいです。

――今回で5度目の来日公演となりますが、今までの日本公演で思い出に残っていることはありますか?

 一番の思い出は、初来日の時に支配人役の俳優が「ファントムなど存在しない。みなの者、ついて来い!」という台詞を言った後に、暗転して退場したと思っていたら、オーケストラピットに落ちていたことですね。ティンパニの上に落ちたので、ガシャンガシャンとものすごく大きな音がした後にシーンと静まり返って、そのまま彼は病院行きとなりました。あまりの出来事に、お客様はきっと演出だろうと考えたと思います(笑)。彼が無事だったので、今はこうして笑って話せますが。それと、初めて名古屋で上演した時に、稽古を十分にしないまま客席に飛び降りるという演技をしたら、客席まで思いのほか距離があって、そのまま毎日飛び降りていたら、だんだん足が腫れてきてしまって……。病院に行ったら、骨にヒビが入っていました。

――体を張って演じられていますね……。

 そうですね。でも、役者とはそういうものです(笑)。

――今回は9年ぶりの来日公演となりますが、準備は進んでいますか?

 10月から稽古に入るので、まだ演出家ともほとんど話し合いをしていません。なるべく白紙の状態でいて、稽古が始まったら、演出家とともに作り上げていきたいと考えています。

――最近はどんな活動をされていますか?

 ここ1年半ほどは、ジャック・ブレルの曲をフィーチャーしたワンマンショー「Peter Straker’s Brel」の上演を続けています。来年は世界のさまざまな場所で上演してみたいです。

――ジャック・ブレルは以前からお好きだったのですか?

 若い頃から大好きでした。いろんな経緯を経て、やっと今こうして彼の歌を披露できるようになったので、感慨深いです。日本でもぜひ上演したいです。どなたかのお力を借りて(笑)。

――日本公演中にやってみたいことはありますか?

 相撲が大好きなので、機会があれば見たいですね。9年前の来日公演時には、力士が2~3人で観に来てくれました。それと、12月といえば、イギリスではクリスマスイベントが真っ盛り。相撲を見ながらイギリス式のクリスマスを迎えられたら最高ですね(笑)。

〈インタビューを終えて〉
 連日の取材で少々お疲れの様子ながら、「このインタビューで疲れているわけではないんだよ」とこちらを終始気遣ってくれていたストレイカーさん。ホテル内のバーでの撮影では、ビシッとかっこよく決める一方で、カメラマンが確認用にいくつか撮影した写真を見せると、「僕は写真を撮られるのが苦手だから、君に任せるよ」とキャリア40年以上のベテランの役者さんとは思えぬ照れを見せるなど、飾らない、とても人間らしい方だなと思いました。

 スペシャルイベントでは、劇中歌のオペラ2曲のほかに、特別にジャック・ブレルのカバー曲「Jackie」も歌っていただき、ファントムらしい荘厳にして妖しい歌声と、グルーヴィーではじけるような歌声の双方を堪能し、その表現の幅の広さに圧倒されました。

 「今はまだ稽古に入っていないから、ファントムの曲より、ここ最近のショーで歌っているブレルの曲のほうが歌いやすい声帯になっているんだ」とおっしゃっていたので、12月の本番ではさらなる高みへと到達したファントムの歌声を聴けることでしょう。今から、とても楽しみです。(岩橋朝美)

※続きの(5)では、スペシャルイベントの動画(2分25秒)をご覧いただけます。

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