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特集 (1)スリリングな政争劇と恋愛物語を両輪に

2014年5月1日更新
写真:「レディ・ベス」公演より=写真提供・東宝演劇部 「レディ・ベス」公演より=写真提供・東宝演劇部

 イギリス王の故ヘンリー8世の娘として生まれ、家庭教師ロジャー・アスカム(山口)のもとで英知を養う王女レディ・ベス(平野)。だが、父がベスの母アン・ブーリン(和音)と再婚するために、カトリックからプロテスタントへ改宗し、後にその母が不義密通の疑いをかけられ処刑されたことが、彼女の人生に暗い影を落としていた。ヘンリー8世と最初の妻キャサリンの娘である、ベスの異母姉メアリー・チューダー(未来)は現イギリス女王。スペイン王室の血を引く母同様、カトリックを信仰しプロテスタントを弾圧する彼女は、母を奪ったアンの娘でプロテスタント信者、さらには若さと美しさを備えたベスを忌み嫌う。

 メアリーとの望まない軋轢に苦しむベスは、ひょんなことから吟遊詩人のロビン・ブレイク(山崎)と出会い、彼の自由闊達な精神に触れ次第に惹かれていく。そんななか、王宮ではメアリーの側近で大法官のガーディナー(石川)が、メアリーとスペイン王子フェリペ(平方)との結婚を持ち込んだスペイン大使シモン・ルナール(吉野)とともに、プロテスタントの勢力を削ぐためベスを排除しようと画策する。

 宗教対立を背景にした異母姉妹の確執に周囲に蠢く人間たちの駆け引きを盛り込んだスリリングな政争劇と、ベスと架空の人物ロビンの「ロミオ&ジュリエット」を彷彿とさせる身分格差のある恋愛物語を両輪に、彼女を現実的に支える家庭教師ロジャーとキャット・アシュリー(涼風)が作品に厚みを出し、また時に影となり時に心理的な支えとなる母アン(和音)の存在がスパイスとして効いている。

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