マイコンテンツ

ここから本文エリア

特集 (5)クラシックの裾野を広げる役割を担いたい

2014年6月20日更新
写真:「IL DEVU」メンバー=撮影・伊藤華織 「IL DEVU」メンバー=撮影・伊藤華織

──改めて、IL DEVUの魅力はどんなところにあるとお考えですか?

望月:日本には男声のグループがたくさんありますが、マイクを使っていないのは、恐らく僕らだけではないでしょうか。名前のインパクトゆえにお笑い系だと思われるからこそ、音楽はしっかりやらないと!と思っています。響きを大事にしているので、ホール選びもすごく重視しています。最近はチケットも争奪戦となり、もっと大きなホールでやってほしいと言われるのですが、やはり上質な空間で、マイクを使わず、生の声ゆえに空気が動くという“ライブ感”を大事にしています。

──最後に、IL DEVUとしての今後の展望をお聞かせください。

青山:もしかしたら、IL DEVUオリジナルの曲を作っていただけるかもしれないという話があります。もし実現し、それが僕らに合ったものであれば、代表曲として、いつも歌うとか、そんなふうにできたらいいなと思っています。

望月:CDが売れなくなり、音楽業界も厳しいと言われる時代ですが、オペラ歌手である僕らがIL DEVUとして唱歌や美空ひばりを歌い、テレビやラジオに出る中、僕らに興味をもってくださる方、さらに、演奏会やオペラのステージを観に来てくださる方が増えたんです。ですから、後付けなんですが、そういう活動も僕らの目的の一つなのかなと。より多くの方に聴いていただけるよう、1回1回、大事にやっていきたいですね。

大槻:男声のグループはたくさんありますが、クラシック業界と繋がっていないところが多いためか、周囲がIL DEVUをすごく応援してくれます。クラシックの裾野を広げる役割を、少しでも担いたいですね。また、人を癒すということは、やろうとしてもなかなかできるものではないでしょうけれども、このデジタルの時代に、マイクを使わず、磨き上げたピアノの音色と歌声だけで演奏することが、その時その時のお客さんの琴線に触れ、喜びや悲しみや嬉しさといった感情を誘うのではないかと思っています。それは、僕らがやっているクラシックそのものの意味にもつながるものなので、そこはブレず、流されずに活動していきたいと考えています。

〈インタビューを終えて〉
 東京二期会のオペラ『サロメ』会場で彼らのデビューのチラシを目にした時の衝撃は忘れ難い。“太メン男性オペラ歌手ユニットによる「Divo Grasso & IL DEVU 結成コンサート~ふくよかなる響き~」”……。ともすると堅苦しいイメージをもたれがちなオペラ歌手たちが、デブを逆手に取ったダジャレ的グループを結成するとは。
 実際に足を運んだコンサート会場はしかし、本格的なオペラ歌手にしか作ることのできない、妙なる調べに包まれた。汲めども尽きぬ歌の魅力を、特別な声の輝きで伝えてくれる彼ら。今は彼らのファーストアルバムを堪能しながら、山下帰国後の来年に予定されるコンサートを楽しみにしたい。(高橋彩子)

戻る

【フォトギャラリーはこちら】

◆IL DEVU(イル・デーヴ)1stアルバム「DEBUT(デヴュー)」
 収録曲:川の流れのように、ネッラ・ファンタジア、ピエ・イエズ、ロマンチストの豚、ホワイト・クリスマスなど12曲《2013年12月4日発売 日本コロムビア 定価3000円+税》

⇒歌が聴ける動画掲載ページは、こちら
⇒CD購入は、こちらから

《筆者プロフィール》高橋彩子 演劇・舞踊ライター。現代劇、伝統芸能、バレエ・ダンス、ミュージカル、オペラなど、舞台芸術を中心に取材・執筆している。年間観劇数250本以上。