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「同」ってどうでしょう?

2012年04月04日
(約900字)
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◆優勝!と思いきや

 横浜市での写真展を紹介する原稿がありました。高度成長期の昭和30〜40年代の街並みや人を写したものが展示されるとのこと。数枚の写真も原稿に添えられています。そのうちの一枚の説明に、こうありました。

 「ファンに囲まれる横浜大洋ホエールズの優勝パレード(昭和53年)」

 沿道に多くの人がつめかける中、オープンカーに乗った選手が、誇らしげに写っています。

 校閲の基本、まずはデータを確認します。すると、ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)が優勝したのは昭和35(1960)年と平成10(1998)年しかありません。どういうことでしょう。

 写真を拡大してみます。あらら、選手の後方に写っている横断幕に、「祝 横浜スタジアム完成!」とあるではありませんか。優勝パレードではなく、スタジアムの完成を記念したパレードだったのです。

 記者には、パレードは優勝したらするもの、という思い込みがあったのかもしれません。

 間違いの元になる「思い込み」「勘違い」は排さなければいけません。私たち校閲部員も同様です。

◆同○○

 紙面で「同社」「同市」など、「同○○」という表現をよく見かけると思います。

 「同」は本来なら「同性」「同点」など、「同じ」という意味で使われますが、新聞記事では直前のものを受ける意味でも用いられます。

 しかし、「何を受けているのかわからない!」ということが時々あります。記者はきっちりと書いていても、デスクが書き直したり、記事や見出しをレイアウトする編集者が手を加えたりして、中ぶらりんになることもあります。

 例えば、「シンポジウムは午後1時半から、同会館4階会議室で」。

 ふむふむ、どこの会館だろう、と前の文を探しても、見当たりません。校閲から問い合わせ、会館の名前を入れてもらいました。

 「同○○」を使うのは、何度も同じ言葉を繰り返すのを避けるためや、字数を節約するためなどの事情があります。でも、「同」が出てくると、何を指すのかいちいちさかのぼって探さなければならないし、「同」が多い原稿はかえって読みにくく、読者に不親切だと思います。読んですっと意味がわかるように、「ここは省略せずに明記しませんか」と校閲から提案することもあります。

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