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私は昨年8月のこの欄で、「シリア情勢の悪化、その背景にあるもの」<http://astand.asahi.com/magazine/middleeast/watch/2011081500003.html>として、アルカイダ的なテロが続く可能性について書いた。もし、民主化を求める民衆のデモが始まって1年以上を経て、いま、その可能性が現実となっているならば、それは政府による軍事的構成で民主化要求が押さえ込まれてしまったことで、民主化要求とは一線を画す形での反政府の暴力が噴き出したと見るべきであろうと思う。今後、同様のテロが続くとすれば、シリア情勢は、90年代前半のアルジェリアやイラク戦争後のイラクのように多くの民衆が犠牲となる暴力が吹き荒れる悪夢のような様相となりかねない。
中東では、車爆弾をつかった自爆攻撃は珍しくないと思うかもしれないが、実は非常に特殊なものである。90年代半ば以降、自爆といえば、ハマスなどのパレスチナのイスラム過激派が有名だが、身体に爆発物を巻き付ける自爆ベストをつかう手法がとられ、自動車をつかった大規模な自爆攻撃が起こったことはない。90年代前半に政府の治安部隊とイスラム過激派の間で一年に1万人を超える死者が出たアルジェリアでは、自爆作戦自体がなかった。過去の例としては、レバノン内戦中の1980年代初めに、シーア派武装組織のヒズボラが米海兵隊兵舎や米大使館などを爆弾攻撃の標的とした例があり、スンニ派では、90年代後半にアルカイダが始め、イラク戦争後にアルカイダ系組織が駐留米軍やシーア派に対して頻繁に行われるようになった。
爆弾攻撃には当然、爆発物の取り扱いや起爆装置などの技術的なノウハウが必要であり、一朝一夕にできるものではない。大量の爆発物の調達、爆発物を車に積み込み爆発させる技術、さらに自爆実行者を用意し、作戦実施を支援する人員を配するとなれば、少なくとも2、3カ月の時間をかけて周到に準備しなければならない大がかりな作戦となる。
警戒が厳しいシリアの情報機関の近くで、大規模な爆弾テロを実施できるのは、イラクにいるアルカイダ系組織か、シリアの情報機関という2つの可能性しかない。後者であれば、自作自演である。シリアの反体制の主要組織「シリア国民評議会」は、今回の爆弾攻撃についても「政府の自作自演」という見方を示した。しかし、私は今回の爆弾攻撃では、自作自演という見方は、次に述べるような理由で否定的にならざるをえない。
まず、今回の攻撃は、・・・・・続きを読む
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