原発のストレステスト(シミュレーション耐性試験)をめぐり、菅内閣が大揺れしている。海江田経済産業相が玄海原発の運転再開を地元に要請した1週間後、菅首相が「日本でもストレステストをしたい」と待ったをかけた。ストレステストはEU(欧州連合)が提唱した安全評価基準で、IAEA(国際原子力機関)の天野之弥事務局長はすでに5月下旬の閣僚級会議で、「EU方式を世界全体に拡大したい」と表明していた。
ところが閣僚級会議に参加して世界の流れを承知しているはずの海江田大臣と経産省は、地元への要請ではストレステストに触れずじまい。余計なことを言って電力不足が長引くのを避けたのだろう。菅首相は本来なら事前に経産相と調整しておくべきだったのに、手柄顔で例の唐突癖を出した。後味の悪さはどっちもどっちだ。
筆者は、福島事故で世界に迷惑をかけた日本は、率先してストレステストの普及拡大に貢献する責任があると考えている。
先進国で「脱原発」の世論が強まる一方で、新興国は増大するエネルギー需要をまかなうために多数の原発建設を計画している。かつての「核拡散」に代わる「原発拡散」の時代を迎えている。それに伴い事故発生のリスクは増大する。世界の原発の安全を確実にするには、規制を各国任せにせず、客観性のある世界共通の安全評価基準を作り、各国合意のもとに実行するのが一番よい。ストレステストはその有力な手段である。
IAEAはもともと ・・・・・続きを読む
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- 木代泰之(きしろ・やすゆき)
経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。
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