4月17日(現地時間16日午後)、米国ワシントンにおける講演で、石原慎太郎東京都知事が、尖閣諸島を都が購入する意向を表明した。この発言が内外に大きな波紋を呼んでいる。
石原氏は、主観的には尖閣諸島を東京都が購入することによって、国家体制を強化することを意図している。
<石原知事は「東京都は尖閣諸島を買うことにした」と述べた。「日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか」「中国は、尖閣諸島を日本が実効支配しているのをぶっ壊すために過激な運動をやりだした。とんでもない話」と批判し、「やることを着実にやっていかないと政治も信頼を失う」と述べた。/また、知事は講演後、「尖閣諸島周辺は豊穣な漁場で、自然エネルギー開発でも大きな可能性を持っている。島々を舞台として様々な施策を展開する」との考えを示した。>(4月17日、朝日新聞デジタル)
しかし、今回の東京都による尖閣購入計画が実現すると、日本の国家体制を弱体化する結果を招く。その理由は2つある。
第一は、外交的要因だ。日本にとって領土問題とは、実効支配することができず、他国によって不法占拠されている領土係争を指す。ロシアによって北方領土、韓国によって竹島が不法占拠されている。従って、日本にとって領土問題は、北方領土と竹島の2つしかない。
尖閣諸島は、日本が実効支配している日本領だ。尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しないというのが日本政府の立場だ。裏返して言うと、中国の外交戦略としては、尖閣を領土問題として国際的に認知させることが当面の目標となる。石原氏のワシントン講演により、尖閣諸島をめぐる領土問題が日中間に存在することが、国際的に定着した。この点で、中国は口先では石原氏を激しく非難しても、内心では「尖閣を領土問題化してくれてありがとう」と感謝している。
第二は、 ・・・・・続きを読む
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- 佐藤優(さとう・まさる)
1960年生まれ。作家。元外務省主任分析官。同志社大学神学研究科修士課程修了。外務省では対ロシア外交などを担当。『3.11クライシス!』(マガジンハウス)、『はじめての宗教論 左巻』(NHK出版新書)、『国家の罠――外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮文庫)など著書多数。
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