東京を救ったのは、東電の工事の不手際だった
2012年04月09日
4号機の使用済み燃料プールの危険性は、いち早く米国が指摘していた。米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は3月16日に米国の下院公聴会で「4号機の核燃料プールでは水がなくなっている」と証言した。水がなくなっていれば、燃料の温度はどんどん高くなり、やがて溶け出して放射性物質が出てくる。原子炉の中の核燃料は圧力容器と格納容器に二重に閉じ込められているが、プールの中の核燃料は無防備だ。そのまま大気中に広がっていく。そう判断したから、米国は80キロ圏内からの避難を求めたのだった。
当時、日本の専門家の間でも燃料プールに対する危機感は高まっていた。東電は15日に前日の水温が85度だったと発表し、これを元に「あと数日で水は完全に蒸発する」といった計算結果がインターネット上に公開されもした。
放水準備のために16日に原発上空を飛んだヘリコプターから「4号機プールの水面が見えた」という報告があったものの、「見間違いではないか」と不安は消えなかった。約58メートルの高所までアームが伸びるコンクリートポンプ車が22日に導入されたあと、プールの水を採取して分析。「放射能濃度が低いとわかって、心の底から安心した」と、分析に当たった日本原子力研究開発機構の幹部はいう。逆にいえば、その時まで当事者もプールの状況について確信が持てないでいたわけだ。
もし、4号機プールの水がなくなって放射性物質の放出が始まったら、どうなっていたか。・・・・・続きを読む
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- 高橋真理子(たかはし・まりこ)
朝日新聞編集委員。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディターなどを務める。著書に『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓−巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。
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