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宝塚プレシャス

タカラヅカ★列伝

成瀬こうきさん ― めざすはシルバータレント?

(2006.12.16)
 シャープで端正で、かっこいい男役だった。誠実そうな外見にちょっと滲ませる翳りが魅力的で、それが悪を演じさせると色気になる。そんな人気男役成瀬こうきが、突然と言ってもいいような形で宝塚を退団したのは02年9月。だが彼女は1年半ののち、華やかに変身して帰ってきた。今ではすっかり女優として活躍中の成瀬こうきに、じっくりと、これまでとこれからを語ってもらった。 (取材・文:榊原和子/写真:吉原朱美)
 
成瀬こうき

 なるせ こうき。女優。元宝塚歌劇団男役。東京都出身。
 91年「ベルサイユのばら」で初舞台。
 「ハードボイルド・エッグ」「ME AND MY GIRL」「チェーザレ・ボルジア」「バロンの末裔」で新人公演主演を務める。バウホール公演「ワン・モア・タイム」、「SAY IT AGAIN」で主演。02年「追憶のバルセロナ」を最後に退団。
 以降、1年6カ月の充電期間を経て04年8月のトークショーライブを中心に活動再開。その後の主な活動に、「東京駅」(04年)、「Collected Stories」(05年)、「ミス再婚」(06年)ほか。

  不安だった再スタート

―― 02年に退団されて、1年半後でしたか?仕事を始められたのは。
 そうです。04年の夏頃にトークショーをして、それから舞台『東京駅』という感じで、始まりました。
―― 退めるとき、その後のことは考えてました?
 ぜんぜん。とにかくもう、いっぱいいっぱいで、そこまで全力投球でやってきたので、ひとまずお休みしたいなと。それに外の世界というものを全く知らなくてきましたから、当たり前の日常生活ができるかも、まるで自信がないことだけは自信があったから(笑)。
 やり直すじゃないけど、一から学ぶなら今しかないと思ってました。その流れで、またやりたいと心から思ったときに、芸能活動のことは考えればいいかなと思ってました。
―― それで、そろそろやってみたいなということになったわけですね?
 有り難いことに、私のスタンスを事務所がすごく理解してくれていて。仕事のことだけじゃなく、これから先の私の女性としての人生を理解していただけて。私は、シルバータレントじゃないけど、おばあちゃんになってもずっとこういう仕事をやっていることが夢で、細くてもいいから長く続けていきたいと思っているんです。
―― 仕事への姿勢がわりとはっきりしての、再開だったんですね。
 なんでもいいわけじゃなくて、スローテンポでもいいから納得のいくことをコツコツとやっていけたらいいなという気持ちだったんです。それで事務所が決まって、再スタートをアピールできる機会があるといいねと言っていたら、ちょうどトークショーの話をいただいて。そのあとすぐ、芸術座の『東京駅』(04年12月)への出演も決まったんです。
―― ファンの方は喜んだでしょうね?
 というか、ファンの方が来て下さるかどうか、すごく不安でしたね。2年近い時間のなかで、自分自身も思い切り宝塚が抜けてしまっていたし、まったく一から始めますという気持ちでしたから。ファンの方だって、もう別の人を応援してても当たり前だし、でも、久しぶりの私への物珍しさで来て下さればいいかなとか思っていました。
―― 結果としては、歓迎ムードでしたでしょう?
 おかげさまでお手紙をたくさんいただいて、また活動を再開してくれてほんとに嬉しかったと書いてあるのを読んで、本当に感動したし励まされました。救われた気分でした。まだ先が見えないから、いろいろ不安になりがちでしたけど、まだ私のことを見ていてくれる人がこんなにいるんだ、ということで勇気をもらいました。
―― そして外での初舞台が芸術座の『東京駅』。いきなり“いい女”風な役が似合ってて、正直びっくりしました。
 パンツルックでしたけど、意外とボンキュッみたいな服でしたね(笑)。でもいい時期でした。もう男役にも戻れない体型になっていて、女であることに吹っ切れたみたいな感じになれたから。
 久しぶりのお芝居で楽しかったんですけど、杉浦直樹さん、佐久間良子さん、江波杏子さんと周りが大先輩ばかりで、唯一、川崎麻世さんは年が近かったし相手役でしたから安心できたんですが、毎日緊張しっぱなし、大丈夫かしらという状態でした。
成瀬こうきさん
―― 私生活では、かなり女性に戻るのは早かったですよね。たまに見かけると髪も長かったし、スカート姿でお嬢様風で。
 (笑)。確かに早かったと思います。でもスカートは宝塚を退めるまで、はいたことなかったんですよ。小さいときも、せいぜいキュロットとかで。でも、ここでスカートはいておかないと一生はかなくなるかもと、思い切ってはいてみたら、けっこう平気でした(笑)。
―― 『東京駅』に出て、男役成瀬こうきじゃないことで、離れたファンもいたでしょうね?
 ショックを受けた人も多かったみたいです。男役でパッとやめて、そのあとの私を見ていなかった人は、とくにそうだったみたいで。観にきて「エーッ!」と思われたらしくて、お手紙にも『ノバ・ボサ・ノバ』のメール夫人みたいですねとか。全然違うんですけどね。でも、ほかに比べられるような役がないから、しかたないんですけど。
―― そういう意味ではファンにとっても、その後の試金石になったんでしょうね。
 これを観て、それでも好きと思ってくださる方が、これからも応援してくださればいいなとは、思っていました。やはり、だんだんファン層も変わって、男の方も増えましたね。出待ちに男性が混じっていたりすると、そうか、女優になるってそういうことになるのかと(笑)。

続けて、「すごいものをやっちゃった」中村メイコさんとの2人芝居、「男役に戻った」エリザベート・ガラコンサートから、06年春の『ミス再婚』、9月のライブのお話までを伺いました。
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