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医療・健康
朝日新聞社

チームでより良い医療を目指す 〜患者を生きる〜

初出:2011年6月27日〜6月30日
WEB新書発売:2011年7月25日
apital

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リハビリ後の生活も支援


 「家に帰りたい」。病院は、患者の願いをみんなでサポートする場でもある。
 「元気になった。うれしい」。笑顔で話す榎木ツワさん(89)。6月13日、長崎リハビリテーション病院(長崎市)を退院した。2010年11月に脳梗塞(こうそく)で倒れ、別の病院に3週間入院。右手足にまひが残り、12月に転院してきた時は、1人で座ることすらできず、表情はうつろだった。
 入院直後、医師や看護師、福祉の相談にのる社会福祉士、リハビリ担当の理学療法士など9職種1人ずつが榎木さんの担当になった。「軽い介助で車いすに移る」などの目標を1カ月ごとに立て、1日約3時間のリハビリを続けた。
 48ベッドの病棟に2人ずついる社会福祉士は、患者が入院すると、家族構成や家の間取りを把握し、相談にのる。榎木さん担当の出口(いでぐち)邦子さん(34)は入院2週間後には、理学療法士らと榎木さん宅を訪ねた。自宅に戻るには玄関口まで、14段の階段を上り下りできるようにならなければならない。同居する長女(66)から病気になる前の生活の様子や不安を聞き、チームに伝えた。皆が閲覧できる電子カルテにものせた。
 3月下旬、本人と自宅を再訪。トイレに行けるか、改修は必要か。動いてもらい、手すりを発注したり、段差をなくす工事を依頼したり。退院直前に病院で開いた会議では、退院後に榎木さんが通う施設のスタッフらに、食事は一口大にきざむ、歩いている時に不要な手助けをしないなどの注意点を伝えた。榎木さんは今、長女が作る食事を楽しみにしている。
 08年に開院したこの病院は、脳卒中や頭にけがをした患者らがリハビリのために入院する病院。脳神経外科医の栗原正紀理事長(59)が、助かっても寝たきりになる患者をみて「医師だけでは何もできない」と感じたことが、チーム医療を進める原点だ・・・

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