中学1年生のとき、体育の時間の事故で脊髄を損傷し、全身の「完全まひ」とされた西村達也さん。しかし調べてみると、わずかな感触が残っていました。リハビリで運動機能の回復に取り組みました。(文中の肩書、年齢などはすべて掲載当時のものです)
朝8時、熊本市の西村達也(にしむらたつや)さん(19)はいつものように電動車いすで大学に向かった。
今春、熊本大学工学部に入学し、佐賀市の親元を離れ、一人暮らしを始めた。首から下にまひがあり、衣服の脱ぎ着や排泄(はいせつ)、入浴などに介助が必要で、1日3回ヘルパーに来てもらう。大学まで片道15分。1カ月で顔や腕はすっかり日焼けした。
02年10月、中学1年だった達也さんは、体育の時間にとび箱で宙返りをしようとして、頭からマットの上に落ちた。目を開けると、体育館の天井がぼんやり見え、生徒たちがのぞき込んでいた。「動かすな」という教師の声の後、意識が遠のいた。
「たっちゃん、しっかり」。駆けつけた母の美智子(みちこ)さん(50)は救急車に運び込まれる達也さんの名を呼んだが、反応はなかった。目は開いているが、顔は青白く別人のようだった。同乗した教頭が「達也、剣道の練習に行くぞ」と叫ぶと、かすかにうなずいた。
搬送先の佐賀市内の病院で、すぐに気管内挿管され、集中治療室に運ばれた。
病院搬送から、どのくらい時間がたっていたのか、美智子さんと父の義人(よしと)さん(51)には記憶がない。医師に呼ばれ、「頸椎(けいつい)1、2番の脱臼骨折で、自発呼吸ができず、命が危ない状態です。助かっても、傷ついた神経から下は一生動きません」と告げられた。
義人さんは詰め寄った。「この子は13年しか生きとらん。治らんとですか。学校と剣道が大好きなんです」・・・
![]()
中学1年生のとき、体育の時間の事故で脊髄を損傷し、全身の「完全まひ」とされた西村達也さん。しかし調べてみると、わずかな感触が残っていました。リハビリで運動機能の回復に取り組みました。[掲載]朝日新聞 (2008年5月20日〜5月25日、6100字)
スマートフォン、iPadでも読めますこの商品のアドレスをメールで送る
![]()
WEB新書の料金のお支払いはクレジットカードでの決済となります。朝日新聞社が提供する決済・認証サービス「朝日新聞Jpass」への登録および、購読手続きが必要です。