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医療・健康
朝日新聞社

震災と腎臓病の子 〜患者を生きる〜

初出:2012年3月24日〜3月25日
WEB新書発売:2013年9月24日
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生まれつき腎臓が小さく、透析を続けてきた少年。震災で電気が止まり、母親は自家発電機を借りて透析の装置を動かしました。(文中の肩書、年齢などはすべて掲載当時のものです)


自家発電機で透析


 宮城県大崎市の中学1年生、木川田悠(きかわだはるか)君(13)は、生まれつき腎臓が小さい「低形成腎」と闘ってきた。生後5カ月のときから、就寝中に8時間、おなかに埋め込んだ管と透析液バッグをつなぎ、血液をきれいにする「腹膜透析」を続けてきた。
 昨年3月11日。小学校で大きな揺れに襲われた悠君は、迎えに来た母ゆき子さん(32)と市内の祖父母宅に向かった。内陸部のため津波の心配はなかったが、家の土台がずれていた。
 母1人、子1人の生活。余震が怖く、ゆき子さんはしばらく実家で過ごすことに決めた。自宅に戻り、1・5リットル入りの透析液バッグ約20袋と20キロ以上もある透析装置を車に積み、実家に運びこんだ。だが停電のため、その晩の透析は出来なかった。
 悠君は透析の管が詰まった1歳半の時から、時おり専門医のいる東京都立清瀬小児病院(現在の東京都立小児総合医療センター)に通っていた。その晩、主治医の幡谷浩史(はたやひろし)さん(44)から「いつでも受け入れます」とメールが届いたが、新幹線も止まり、行ける状況ではなかった。
 透析装置を動かすため、翌朝、祖父の利男(としお)さん(64)が自家発電機を借りてきた。燃料のガソリンが足りず、5時間しか使えなかった・・・

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