医療・健康
朝日新聞社

においが怖い ―化学物質過敏症 〜患者を生きる〜

2014年02月10日
(5200文字)
apital

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 小学校5年生のときの引っ越しを境に、頭痛やめまいがするようになった男性。以来様々なにおいに反応して体調を崩します。(文中の肩書、年齢などはすべて掲載当時のものです)


新居で感じた刺激臭


 大阪市東淀川区でギターショップを営む入江紘司(いりえこうじ)さん(28)はサッカーや水泳が得意な活発な子どもだった。
 小学5年に進級した1994年の春のことだった。
 一家5人で大阪府寝屋川市の新居に引っ越した。
 気密性の高さを売り物にした大手住宅メーカーの3階建ての物件。長男の紘司さんは3階に自分の部屋をもらった。
 ただ、当初から「新築特有のにおい」が気になり、部屋で寝ると頭痛やめまいがした。
 だが、「引っ越し疲れかな」ぐらいに思っていた。
 しかし、1週間ほど経つと、多量の鼻血が日に何度も出るようになった。
 耳鼻咽喉(いんこう)科に行くと、「鼻をいじったんだろう」と言われた。身に覚えがなかった。
 梅雨の湿気に暑さが加わった7月の休日。
 一家で2時間ほど買い物に出かけ、帰宅して玄関を開けた途端、激しい刺激臭が鼻をついた。
 「入らないで!」と母(55)に言われ、外で待った。
 大事に飼っていた12匹のハムスターが死んでいた。
 冷房をつけ、直射日光が当たらないところに飼育箱を移して出かけたはずだ。
 「暑さのせいじゃない。この家には何かある」
 小動物が原因不明の理由で死ぬことは珍しくないこととはいえ、悲しみを通り越し、怖くなった。
 夏休みに入ると新居を離れ、大阪市の祖父の家に避難した。ショックは尾を引き、体重が10キロ近く減った。
 心配した母に連れられ小児科に行くと「ストレスだろう」と告げられた。
 それでも、刺激臭に接することがなくなったせいか、頭痛やめまいといった症状は徐々に治まっていった。
 年を越した3学期に元の小学校に再転校した。しかし、「出戻り」といわれ、問題児扱いを受けた。
 「友達もおらんくなった。地元の中学には行きたくない」と、祖父の家から離れた中高一貫校へ進んだ。
 これがきっかけで、再び頭痛やめまいに襲われることになる・・・

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においが怖い ―化学物質過敏症 〜患者を生きる〜
216円(税込)

小学校5年生のときの引っ越しを境に、頭痛やめまいがするようになった男性。以来様々なにおいに反応して体調を崩します。「患者を生きる」免疫と病気シリーズ。[掲載]朝日新聞(2012年12月11日〜12月16日、5200字)

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