医療・健康
朝日新聞社

私の「普通」 ―潰瘍性大腸炎 〜患者を生きる〜

2014年02月17日
(5300文字)
apital

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 21歳のときに難病の潰瘍性大腸炎と診断された女性。闘病しながら娘を出産。娘の成長を支えにしてきましたが、長年、治療としてステロイドを服用していた副作用が危惧されました。(文中の肩書、年齢などはすべて掲載当時のものです)


鋭い痛み、何度もトイレ


 20年ほど前の初夏。自宅近くの自動車販売店で働いていた茨城県の関口博子さん(42)は、同僚が旅行のお土産に買ってきた山形のさくらんぼを食べた。おいしくて手が止まらない。手のひらいっぱいに種の山ができるほどだった。
 翌朝、おなかが痛くなった。下痢が止まらず、近所の胃腸科クリニックを受診した。医師は「食べ過ぎかな。たいしたことはない」。痛み止めの薬と整腸剤をもらって帰った。
 しかし1週間たっても、腹痛は続いた。出勤はするものの、ずっと下腹あたりが重く、時折、ぎゅっと鋭い痛みがおそう。「アイタタタ……」とおなかを押さえて、トイレに何度も駆け込んだ。
 ある朝、38度近い熱があった。驚いて同じ胃腸科へ行ったが、「うーん、風邪かな?」というばかり。2週間たっても、腹痛は消えなかった。
 一緒にさくらんぼを食べた同僚たちは、何事もなく過ごしている。「やっぱりおかしい」。覚悟を決めて、車で1時間近くかかる総合病院を訪ねた。近所の胃腸科と同じ薬を出されたが、やはり10日ほどたっても治らなかった。
 おしりからバリウムを入れて大腸をX線で撮影する検査を受けた。数日後、結果を聞きに行くと、担当の医師が深刻な表情でこういった。
 「腸の中を直接、見たいので、今度はカメラ(内視鏡)を入れましょう」
 大腸の内視鏡検査は、生まれて初めて。「それって、がんていうことじゃないの?」。恐怖を感じた。
 内視鏡検査は、激痛を伴った。「もう、やめてー」。思わず悲鳴を上げると、体に力が入って余計に痛みが増す。看護師になだめられながら、必死で耐えた。
 検査後、医師は「悪い病気かと思っていたけど、潰瘍(かいよう)性大腸炎でした。この病気も難病ですが、命に関わる病気ではないから」と説明した。表情に、明るさが増して見えた。
 「とりあえず、がんじゃなくてよかった」。真っ先に、そう思った。潰瘍性大腸炎がどんな病気なのか、生活はどう変わるのか――。考える余裕は、まだなかった・・・

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私の「普通」 ―潰瘍性大腸炎 〜患者を生きる〜
216円(税込)

21歳のときに難病の潰瘍性大腸炎と診断された女性。闘病しながら娘を出産。娘の成長を支えにしてきましたが、長年、治療としてステロイドを服用していた副作用が危惧されました。「患者を生きる」免疫と病気シリーズ。[掲載]朝日新聞(2012年12月18日〜12月23日、5300字)

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