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朝日新聞社

元受刑者の「その後」 再犯防ぐ更生支援 とりまく不安と希望

WEB新書発売:2010年9月6日
朝日新聞

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元受刑者の「その後」

 真夏日が続いた仙台市。6畳一間のアパートには朝からじっとりした熱気がこもる。エアコンはない。住むのは、2009年2月に刑務所を出所した男性(51)。折れた歯は治療代がないため、そのままだ。
 10年7月下旬の朝、男性はJR仙台駅に向かった。世話になったホームレス支援のNPOが続けるごみ拾いに参加するためだ。約50人で1時間ほど作業をし、行列をつくるホームレスに現金200円とおにぎり、果物を渡した。男性も一度はホームレスになった。

 強盗罪で懲役5年の判決を受け、刑期満了の4カ月前に仮釈放された。仮釈放と満期出所には、実は大きな違いがある。仮釈放で出た人は残る刑期の間、保護観察官や保護司から指導や助言を受ける。満期出所にはそれがない。
 男性の場合、仮釈放の後、民間の更生保護施設を経て建設会社に住み込んだが、持病が悪化して辞めた。ホームレスになった後、NPOの紹介でアパートに住み、いまも職を探し続けている。
 生活保護で得るのは月約11万円。家賃などを支払うと、手元に残るのは6万円弱だ。携帯電話がないことが、職探しのネックになっている。
 ホームレスだった1月中旬、地下道で寒さに耐えた。3日ほど何も食べていなかった。迷った末に公衆電話の受話器を握った。「なんとかしてもらえないでしょうか」
 電話を受けたのは、仮釈放時の担当だった仙台保護観察所の正木勉保護観察官(45)。男性は電話の時点で刑期を終えており、保護する法的根拠はなかった。だが、「10分後にもう一度電話できるか」と男性に伝えたうえでいったん電話を切り、すぐにアパートを紹介したNPOに連絡した。「こういうケースが結局、万引きなどの再犯につながる」。本来かかわれない元受刑者からの電話は毎日のようにあるという。
 支援がなく、踏みとどまれなかった例もある。・・・

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