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文化・芸能
朝日新聞社

クールジャパンの終焉 中韓の逆襲

WEB新書発売:2010年8月20日
朝日新聞

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 経済やスポーツの分野で次々と日本の優位を奪ってきた中国と韓国が、マンガやアニメ、映画など文化の領域でも存在感を増している。「文化のハブ」狙う韓国、海外へ攻勢かける中国。日本文化の国際的な存在感の「変調」を中韓両国との対比から探る。


クール・ジャパンに脅威 中韓、挙国の育成


 欧州のMANGA(マンガ)ファンが集う会場の一角に、韓国でマンガを意味する「MANHWA(マンファ)」の看板が掲げられた。
 今月1日から4日間、パリ郊外で開かれたジャパン・エクスポ。「かっこいい」という意味で「クール・ジャパン」と呼ばれる日本のマンガやアニメの祭典だ。ここ数年は各国から15万人前後が押し寄せる。
 「マンファ」の看板を掲げたのは、韓国政府所管のコンテンツ振興院のブース。開催11回目で初めて出展した。
 会場を視察していた経済産業省の渡辺哲也クール・ジャパン室長は「韓国はとうとうここまで来たのか」とショックを受けた。「ここもいずれマンファに席巻されるかもしれない」
 韓国は1990年代から文化産業の育成に力を入れてきた。コンテンツ振興院はその一翼を担う機関。政府の補助金約1800億ウォン(133億円)を中心に運営され、海外戦略づくりや人材育成などを行う。「21世紀は文化産業がすべての産業をリードするようになる。それが韓国政府の認識だ」と李在雄(イジェウン)院長は語る。
 中国も、07年の共産党大会で「文化軟実力(文化のソフトパワー)」を重要国策の一つに位置付ける。映画や出版などと並び、近年はアニメ産業育成に注力。関連企業を集めた「動漫(アニメ)産業基地」を大連、天津、長沙など約20カ所につくった。従業員1千人を超えるアニメ企業がいくつも育っている。
 経済やスポーツの分野で次々と日本の優位を奪ってきた両国。文化の領域でも存在感を増している。


盛況誇る釜山映画祭 120億円かけ巨大拠点


 スタジオジブリの宮崎駿監督や「世界のキタノ」こと北野武監督らが「クール・ジャパン」と称賛される日本の映画界。この分野でも韓国は国をあげて取り組む。
 韓国・釜山市の海浜リゾート・海雲台(ヘウンデ)。巨大施設の建築工事が進む。
 サッカーのピッチの1・5倍の広さをもつ大屋根を、鼓のような形の一本柱が支える構造。屋根には一面にLEDが埋め込まれ千変万化に輝く――。釜山国際映画祭の主会場となる「映像センター」だ。
 来年9月の完成を目指し、韓国政府と釜山市が1624億ウォン(120億円)を投じている。映像センターを含む一帯6万平方メートル余りを開発し、アニメーターを育てる施設なども建設する。2年後には映画関連の行政機能もソウルから移す。「アジアの映像拠点に」とのもくろみだ。
 背景には釜山映画祭の成功がある・・・

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